宇宙飛行士の年収を詳しく解説

宇宙飛行士の年収に興味がある方のための役立つ情報を紹介

宇宙飛行士の年収まとめ

平均年収 年収1,000万円前後
NASAの宇宙飛行士 推定年収100,701ドル
JAXAの宇宙飛行士 800万円から1,000万円の間
※手当など含め
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アイミ

宇宙飛行士とは宇宙空間で様々な活動を行う人員を言います。その役割もスペースシャトルの操縦からISSで各種実験を行ったり、メンテナンス等の船外活動を行ったり様々です。
宇宙飛行士は時代によりその仕事も少しずつ変わってきており、宇宙開発黎明期は宇宙空間に到達さえすればよかったのでロケットにただ乗っていればよかったのですが、アポロ計画が始まると月まで到達するという過酷なミッションとなりました。
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ヨシコ

そんな宇宙飛行士はアメリカ、日本をはじめ、中国ロシアなどにいます。
そんな彼らの平均年収を徹底解説!

宇宙飛行士の年収

宇宙飛行士の年収はおよそ800万円~1000万円前後と推定されます。 各国の宇宙飛行士の年収を表にしてみたので確認してください。

宇宙開発機構 平均年収
NASA(アメリカ) 1000万円前後
JAXA(日本) 800万円~1000万円
ロスコスモス(ロシア) 1500万円
CNSA(中国) 3000万円

NASAの宇宙飛行士とその年収

NASAの宇宙飛行士の気になる給料ですが、公表されている内容を見てみます。

グレード 年収
GS-12 65,140ドル
GS-13 ~100,701ドル

公表されている給料は宇宙飛行士候補のもので、連邦政府の給与体系に従っています。
宇宙飛行士候補の給料はこのグレードの中でGS-12からGS-13の間となっています。
GS-12の給料は年間65,140ドルから始まりGS-13の上限は年収100,701ドルとなっています。
日本円に換算すると最高で年収1,000万円ちょっとです。アメリカ連邦政府の一般的な給料から見ても取り立てて高くはありません。
一方で、こちらは飽くまで宇宙飛行士候補であり、正規の宇宙飛行士になるとまた給料は上がります。
また、実際に宇宙へ行きISSで仕事をしている間は手当てが付きますので宇宙で活動するとその期間の給料は高くなります。

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アイミ

年収1000万円なんですね。宇宙飛行士が終わったあとのほうが年収が高いのかな?

JAXA(宇宙航空研究開発機構)の宇宙飛行士とその年収

JAXA(宇宙航空研究開発機構)に宇宙飛行士として採用されるとJAXAの職員となり、JAXAから給料が支払われます。この時の給料は宇宙飛行士として特別な内容ではなく、JAXAの給与体系により決められています。

JAXAの給与体系に従うということは、それまでの学歴や職歴が考慮されるということですので、宇宙飛行士は一律幾らという訳ではありません。
参考までにJAXAの年収を試算してみますと、最短で宇宙飛行士の採用試験に合格した場合の学歴は大学の学士で勤務年数が3年の25歳となります。
この際のJAXAの年収を試算してみますと5,310,491円となります。

最終学歴が博士ですと、採用試験では勤務年数が3年間加算されますので、実質社会人経験なしでも採用試験を受けられます。この場合の年収は5,695,404円となります。
この金額に役職手当等がつきますのでこれよりも高くなると思われます。実際のところ宇宙飛行士のはっきりした給料の情報は無いために、分かる範囲で調べると800万円から1,000万円の間であると推測されます。

また、宇宙へ行きISSで作業を行う場合には宇宙飛行士手当が支給されます。この手当は本給の程度でありますので、本給が2倍くらいになります。

ロシアや中国の宇宙飛行士の年収

ロシアや中国の宇宙飛行士の年収はとくに公表されていないようですが、ニュース記事などを参照してみると、
ロスコスモスで年収が150000ドルの支払いがあったようです。
中国に関しては、中国国家航天局が宇宙開発事業を担っており、宇宙飛行士の月収は200万円以上と推測されています。

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アイミ

中国ロシアのほうが年収が高い!これは開発に力を入れているということもあるんでしょうね!

NASAの宇宙飛行士になる方法

宇宙飛行士と言えばNASAを思い浮かべる方は多いかと思いますが、これまで宇宙開発をけん引してきたのがアメリカのNASAです。
宇宙飛行士は基本的に各国の宇宙関係の機関に所属しており、アメリカ人宇宙飛行士はNASAに日本人宇宙飛行士はJAXAに所属しています。

NASAの宇宙飛行士になるためにはまずはNASAの選考基準を満たさなければなりません。
アメリカ国民でなければ応募できず、この他にも強靭な肉体と強い精神が必要になります。
学歴は指定された大学の工学、科学、数学のいずれかの学部を卒業していればよく、その後学位に関連した分野の3年間の実務経験が必要になります。
パイロットの場合はジェット機による1,000時間の飛行経験が必要な上に、ミッションスペシャリストつまりISS内で活動する宇宙飛行士よりも良い視力が求められています。
書類選考を通過して本試験に合格すると晴れて宇宙飛行士の仲間入りができます。宇宙飛行士の募集があると毎回4,000人くらいが応募してきますが、採用されるのはその内20人程度です。

これまで最高齢の宇宙飛行士は1998年に宇宙に飛び立ったジョン・グレンさんで御年77歳でした。
逆に最も若かったのが1983年に飛び立ったサリー・ライドさんで御年32歳と23日でした。

JAXAの宇宙飛行士になる方法

JAXAで宇宙飛行士になるための条件を2020年10月に公開されたJAXAの宇宙飛行士募集に関する資料集より抜粋してみました。
以下の11項目に該当していれば宇宙飛行士の募集に応募可能です。
(1) 日本国籍を有すること。
(2) 大学(自然科学系※)卒業以上であること。
(※)理学部、工学部、医学部、歯学部、薬学部、農学部等
(3) 自然科学系分野における研究、設計、開発、製造、運用等に3年以上の実務経験を有すること。
(なお、修士号取得者は1年、博士号取得者は3年の実務経験とみなします。)
(4) 宇宙飛行士としての訓練活動、幅広い分野の宇宙飛行活動等に円滑かつ柔軟に対応できる能力(科学知識、技術等)を有すること。
(5) 訓練時に必要な泳力(水着及び着衣で 75m: 25m x 3回 を泳げること。また、10分間立ち泳ぎが可能であること。)を有すること。
(6) 国際的な宇宙飛行士チームの一員として訓練を行い、円滑な意思の疎通が図れる英語能力を有すること。
(7) 宇宙飛行士としての訓練活動、長期宇宙滞在等に適応することのできる医学的、心理学的特性を有すること。
(8) 日本人の宇宙飛行士としてふさわしい教養等(美しい日本語、日本文化や国際社会・異文化等への造詣、自己の経験を活き活きと伝える豊かな表現力、人文科学分野の教養等)を有すること。
(9) 10年以上宇宙航空研究開発機構に勤務が可能であり、かつ、長期間にわたり海外での勤務が可能であること。
(10)米国勤務当初に必要な国際免許の取得のため、日本の普通自動車免許を採用時までに取得可能なこと。
(11)所属機関(又は、それに代わる機関)の推薦が得られること。
大学の自然科学系の学部を卒業後に3年間の実務経験が必要とありますので、順当にいけば25歳から応募可能になります。
結構曖昧な内容ですので、理系の学部を卒業して3年間の社会人経験があれば誰でも応募できそうですが、非常に高い英語力が求められると推測されますので英語に自信が無ければ合格は難しいです。
現在、宇宙飛行士はISS(国際宇宙ステーション)での活動が主となっており、ISSは周期的に滞在者が入れ替わり常に誰かが滞在している状態です。
このため、アメリカやカナダ、ロシアと言った国々の宇宙飛行士たちと密接なコミュニケーションを取らなければならず、片言の英語しか話せない場合は書類選考の段階で脱落するでしょう。

採用試験はまずは書類選抜から始まります。2009年に実施された採用試験では963名の応募がありましたが、書類選抜に合格したのは230名でした。この際には英語力や職歴などが審査されると共に、医学審査も行われます。

次に行われるのが一次選抜です。この試験でも医学検査があります。その他にも一般教養試験、基礎的専門試験、心理適性検査などが行われます。2009年にこの一次選抜の合格者は50名でした。

続いて二次選抜が行われます。
この試験ではより専門的な能力が計られます。
面接では専門的な英語力や精神心理なども調べられます。そして、作業検査が行われます。2009年ではこの試験に10名が合格しています。

ここまでくれば皆さん甲乙つけがたい存在であると思いますが、さらに最後の試験である三次選抜が行われ2009年には最終的に3名が合格しています。
この三次選抜では長期滞在適性検査や泳力試験が行われると共に、JAXAやNASAの宇宙飛行士たち、そして外部有識者や役員などと面接が行われます。
最終的に3名が合格されたので、2009年度の試験の合格率は0.3%となり非常に狭き門でした。

試験に合格するとJAXAに入り宇宙飛行士としての訓練が始まります。
まずは2年間の基礎訓練が行われます。この時、ISSでの作業を想定した訓練が行われます。
つまり、ロボットの操作や船外活動、航空機操縦などです。
語学訓練も行われ、英語と共にロシア語も勉強します。カリキュラムの中には一般サバイバル技術訓練やメディア対応訓練など独特な訓練もあります。

この2年間の基礎訓練が終了すると、次は不定期の維持・向上訓練になります。
ISSは各国の宇宙飛行士が交代で勤務していますので、搭乗予定が出来るまで待つ必要があります。
この間は待機期間となりますが、基礎訓練の延長で船外活動訓練等が行われます。
そして、ISSの搭乗が割り当てられますと、ISS搭乗訓練を1年から2.5年間実施します。
この訓練にはロボティックス運用や宇宙船システム運用などがあります。
そして、スペースシャトルの打ち上げ日が来るとISSに向けて宇宙に飛び立ち、約半年間のISS勤務を行います。

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アイミ

英語は必須。ビジネスレベルで必須ですね。これからはISS勤務になるので年収もその分上がるのかな?手当は高そう。

宇宙飛行士のリスク

宇宙飛行士は華のある職業ですが、命の危険が付きまとう仕事でもあります。
実際に亡くなられた宇宙飛行士もたくさんいます。
アメリカでは初期の宇宙飛行士はテストパイロットから選ばれていました。
テストパイロットと言えば命知らずが集まる仕事としても有名で、仕事は試作機の性能確認です。試作機ですからまともに飛ぶかどうかわからないのですが、その飛行機を操縦しますのでパイロットとしての技術も一流です。
設計通りに飛ばないことなど日常茶飯事で危機的状況の対応にも慣れていますので肝も据わっています。
まさに宇宙飛行士に最適な人材たちだったのです。
初期の宇宙飛行士はまともに宇宙まで飛ぶかどうかわからないロケットに乗り込みましたので頭脳よりも度胸が大事なイメージですが、国際宇宙ステーションが出来て安全性も高くなり、ステーション内で科学実験などを行うようになると優秀な頭脳を持った人材が好まれるようになっていきました。

とはいっても安全性が増した現在でも危険であることにはまだ変わりはありません。
宇宙飛行士にとって最も危険な瞬間はスペースシャトルの打ち上げや大気圏突入の時です。
この時にスペースシャトルが分解することがあり、実際にスペースシャトルではチャレンジャー号やコロンビア号の事故が起こっています。
これらの事故はしっかりと整備や設計がされていたら起こらなかった事故でもあります。

もう一つの危険は精神的な危険です。
宇宙空間ではISSに滞在しますが、狭い空間に閉じ込められた上に逃げ場はありません。
任務終了の際にやってくる迎えを待たなければなりませんがそれまでISSから一歩も出ることができません。
仮に出たとしても外は宇宙空間ですので宇宙服が無いと死んでしまいます。このような閉鎖的な環境は人間の精神にネガティブな影響を与えることがありますので、精神的なケアが非常に大事になります。
さらに、仲間同士でのコミュニケーションも大切になり、同じISSに搭乗している仲間同士、運命共同体として支え合っていかなければなりません。このため、宇宙飛行士にはコミュニケーション能力と意思疎通を上手く行うための語学力は非常に大切になります。

他にも宇宙空間では太陽などから放出された放射線があります。
地球上では大気が守ってくれますが、宇宙ではISSの薄い壁しか守ってくれるものがありません。
このため、宇宙での活動では地球上に比べて数百倍の被ばく量となってしまいます。
放射線量も一定ではなく、太陽の活動などにより強くなったり弱くなったりしています。
太陽で太陽フレアと呼ばれる爆発が起こると放射線量が増加しますが、この時期にISSに居ると特に強い放射線を浴びてしまったりしますので、被ばく量の管理も大切になっています。

宇宙は無重力ですので筋肉を使わずにすいすい動けてしまいますが、裏を返せば筋肉を使わなくて済む分、筋力が衰えていくのです。
筋肉は滞在期間に応じて低下していき、長期間滞在した宇宙飛行士が地上に降り立った時に一人で立てない映像などを見ることがありますが、これは筋力が衰えてしまったからです。
ISSに滞在している宇宙飛行士たちは筋力を落とさないように毎日トレーニングをしていますが、それでも筋力は低下してしまいます。
筋力は地上に戻ると徐々に回復していきますが、それでも大幅な筋力低下が起こりますので身体に与える影響は大きいです。

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アイミ

危険がいっぱいでもやっぱり夢がある職業が宇宙飛行士です。花形の職業であり注目度も高く、子供たちにとってはヒーローです。
まるでスポーツ選手のような宇宙飛行士ですが、実際の給料は一般的な公務員よりも少し高い程度となります。
一方で、命の危険が伴う上に、優秀な頭脳と高度な知識、経験が求められ、宇宙空間で活動できるだけの丈夫な身体も必要です。
精神的にも強くなければならず、高いコミュニケーション能力や語学力も必要になります。
宇宙での生活は無重力により筋力が衰え、放射線によりDNAなどが傷つきます。
これらのことから給料はもっと高くてもいいと思うのですが、給料が安くても命を危険にさらしても宇宙飛行士になりたいと思う優秀な人が多いのでこの給料でも応募があるのでしょう。
つまり、宇宙飛行士はお金のためになる職業ではなく、夢や憧れでなる職業であるということがわかります。
執筆・監修者 平均年収.jp 編集チーム
平均年収.jp編集部

外資系出身者・職業紹介本原作者、FP資格保有者・専門ライター、キャリアコンサルタント・大手出版編集者などのメンバーが参画
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