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理化学研究所の年収について解説します。研究員たちは一体いくら稼いでいる?

理化学研究所の給料まとめ

理事長の最高俸給 117.5万円/月
研究員の最高俸給 58.39万円/月
全職員の最低俸給 14.27万円/月
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アイミ

色々と話題を耳にする理化学研究所だけど、みんないくら貰っているのかしら?高学歴の科学者なので結構貰っているんじゃないかな?年収1,000万円超えが当たり前とか?
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ミナミ

でも、理化学研究所の職員は準公務員扱いなのよね?公務員で年収1,000万円超えるってそうそうないわよ。
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マリン

そう、いい視点ね。有名大学で博士号を取得して理化学研究所の研究員となっても実際は一般企業と比べると年収は低いのよ。今回はそんな理化学研究所の年収について解説するわ。

理化学研究所と研究員について解説します。そもそも公務員なの?

理化学研究所は正式名称を国立研究開発法人理化学研究所と言います。
元々は国立の研究機関でしたが2003年の法改正で独立行政法人理化学研究所となり、2015年に国立研究開発法人理化学研究所となりました。
理化学研究所の常勤職員の扱いは準公務員であり、給料は公務員のように俸給表により決められており、公務員に準じた俸給が支払われています。

理化学研究所は自然科学の総合研究所であり、日本各地に拠点を持っており様々な分野の研究が行われています。
1917年の創立以来、国内初であるサイクロトロンの開発や113番目の元素、その名もニホニウムの発見など様々な業績を挙げています。
一方でSTAP細胞の一件などもありましたが、それでも日本を代表する研究機関としてその名を轟かせています。

理研の職員には理事長や理事、監事と言った運営に携わる人たちから研究員や研究を支える事務員など様々な人たちが働いています。
研究員は安定してそうですが、実際はそうではなく任期制で不安定な立場の方が多くおられますので、定年制職員にならないとなかなか立場は安定しません。
しかし、定年制職員は狭き門ですので実際研究で定年制職員の職を得るには我武者羅に頑張っただけでは難しく、ちょうどいいタイミングでポストがあった等の運も必要になります。
これは理化学研究所に限らず大学などでも言えますが、昨今のこのような不安定な状況により研究を志す若者は減っており、博士号という学歴が重荷になる場合も多いので博士号を取得しようという日本人が減っており留学生ばかりとなりつつあります。
その様な状況でも研究を志した方々が日々研究に打ち込んでいる場所の1つが理化学研究所です。

下のグラフは理化学研究所の職員の雇用形態と人数を表す表ですが、理化学研究所の総職員数は2020年の段階で3,502人となっています。
事務系と研究系の職員を比較すると圧倒的に研究系が多いですが、定年制職員の数は事務系と研究系でほぼ同じですが任期制職員の数が圧倒的に研究系の方が多く、更に研究系の定年職員数と比べても10倍近く研究系の任期制職員の数が多いです。
任期制は任期が来れば職を失いますので将来的に不安定になります。
このため、若手の任期制職員は結果が出ないと次が無いために結果を出そうと焦って研究をする傾向になってしまいます。
これは理化学研究所に限らず、日本各地の研究所や大学で同じような傾向が見られています。

ただし、2018年から任期制職員でも5年が経過すると無期雇用職員となる権利を得られるようになったために、次第に無期雇用職員が増えつつあります。
無期雇用職員になると雇用期限が無くなりますが、正職員という訳ではなく以前の雇用契約を引き継いでいますので待遇は大きく変わりません。

理研職員についての画像

本記事は理化学研究所のサイトを参考に書かれています。

理化学研究所

理化学研究所の給料と年収

理化学研究所に勤める職員の給料ですが正確な金額は限られた人にしかわかりませんが、、俸給表により決まっていますので給料レンジは分かります。
まずは理事長、理事、監事ですが、これら運営に携わる職位の給料は以下の俸給表により決まります。
毎月の基本給となる号俸の横に4.5か月分の賞与を加えた簡易的な年収を書いています。
実際は手当等が付きますのでこの数字よりも高くなります。

理事長、理事、監事の俸給

理事長の場合はこの俸給表の中で6号俸以上と定められていますので、毎月の俸給は965,000円から9号俸である1,175,000円の間となります。
理事の場合は6号俸以下となっていますので1号俸の689,000円から6号俸の965,000円の間となりますが、監事の号俸が4号俸以下と定められていますので単純に考えれば監事よりも高い4,5,6号俸のうちのどれかとなります。

号俸 本給月額(円) 年収
1 689,000 11,368,500
2 706,000 11,649,000
3 761,000 12,556,500
4 818,000 13,497,000
5 895,000 14,767,500
6 965,000 15,922,500
7 1,035,000 17,077,500
8 1,107,000 18,265,500
9 1,175,000 19,387,500
定年制職員の俸給

理化学研究所の手当ですが、手当は雇用形態により異なっており、定年制職員では家族手当、役職手当、初任給調整手当、研究手当、特別地域手当、広域異動手当、住居手当、超過勤務手当、裁量労働手当、放射線取扱手当、深夜手当、特殊勤務手当、通勤手当、単身赴任手当、管理職員特別勤務手当、期末手当及び報奨金があります。
定年制職員の俸給ですが、俸給表では1級から7級まで分かれており、それぞれの級で号俸が数百円刻みで細かく定められています。
下の表は定年制職員の俸給表をまとめたものですが、号俸に関しては最高と最低値のみを書いています。

1級の最低号俸は142,700円と最低時給レベルの非常に低い俸給になっています。
1級のままですと最高号俸が315,100円ですが、ここまで上がれば余裕のある生活が出来るレベルの年収になります。
1級は定年制職員でも最低ランクの職員ということになり、中学校卒業の初任給が1級の最低号俸である142,700円と推測されます。
2級の最低号俸である202,300円は大卒初任給であると思われ、年齢を重ねる、もしくはグループリーダーやPI(Principal Investigator)になるごとに級が上がり俸給は高額になっていきます。
7級ですと最低でも407,800円、最高で583,900円の俸給が貰えますが、この583,900円が定年制職員の最高俸給になります。

等級/号俸 7等級 6等級 5等級 4等級 3等級 2等級 1等級
最低号俸 (円) 407,800 378,700 373,900 341,100 271,000 202,300 142,700
最高号俸(円) 583,900 550,400 548,700 546,000 507,500 396,800 315,100
定年制職員の推定年収
等級/号俸 7等級 6等級 5等級 4等級 3等級 2等級 1等級
最低年収 (円) 8,074,440 7,498,260 7,403,220 6,753,780 5,365,800 4,005,540 2,825,460
最高年収(円) 11,561,220 10,897,920 10,864,260 10,810,800 10,048,500 7,856,640 6,238,980
任期制職員の年収

定年制職員は一般企業における終身雇用の正社員ですが、理化学研究所においてはレアなポジションになります。
最も多いポジションは任期制職員であり、研究系職員の多くがこの任期制職員として雇用されています。
実際の職名は上級研究員、上級技師、研究員、技師、高度研究支援専門職、専門技術員、アシスタント、研究支援専門職となっています。

任期制職員の場合は年俸制となっており、固定給月額を12倍した金額が年俸となります。
もちろんこの月額以外には住宅手当などが付きますので以下の表の金額は最低金額になります。

任期制職員は研究関連の一般と管理職で俸給表は分けられており、管理職になると年俸は1,000万円を超えます。
ただし、管理職にならないと年俸は最高でも547.8万円であり、理化学研究所に入所できる学歴などを考慮すると一般企業と比較しても非常に低い年収となります。
また、研究関係以外の職では最高年俸が450.6万円とこちらも非常に低い年俸となっています。

研究業務又は研究技術開発業務に従事する任期制職員の年俸表
号俸 固定給(円) 固定給月額(円)
1 5,478,000 456,500
2 4,842,000 403,500
3 3,978,000 331,500
4 3,306,000 275,500
5 2,634,000 219,500
6 2,238,000 186,500
7 2,058,000 171,500
その他の任期制職員の年俸表
号俸 固定給(円) 固定給月額(円)
1 4,506,000 375,500
2 3,738,000 311,500
3 2,538,000 211,500
4 2,298,000 191,500
5 2,058,000 171,500
研究管理職である任期制職員
区分 固定給(円) 固定給月額(円)
1 13,044,000 1,087,000
2 8,496,000 708,000
3 7,068,000 589,000
無期雇用職員の年収

無期雇用職員とは2013年4月1日に施行された改正労働契約法に基づく無期転換ルールに設けられた雇用形態で、2018年から運用されています。
無期転換ルールとは有期雇用が5年を超えると被雇用者は期間を限定しない無期労働契約に変更できるというルールです。
つまり、任期制職員が労働契約を結んだ後に5年間働くと、理化学研究所に無期労働契約を申し入れることができます。
この際理化学研究所はこの申し入れを拒否できないために、実質的に終身雇用となります。
ただし、正職員になるわけではなく以前の雇用形態を引き継いだ契約になります。
この無期雇用職員の給料は年俸により定められており、以下の表に従います。

研究一般職では上席研究員、上席技師の年俸は513.3万円と低くなっています。
最も低い職位のアシスタント、研究支援専門職の年俸は263.4万円と生活していくのにギリギリの収入となっています。

一方で管理職になると任期制職員と同じ表が用いられ最高年俸は1304.4万円となりますので、研究職で安定した生活を送るには定年制職員、もしくは無期雇用職員として管理職になるしかないということになりますがその門は非常に狭く、このような不安定な雇用実態から研究職は避けられる傾向が出てしまっているのが現状です。
優秀な研究者は収入が良いうえに割と自由に研究できる海外へと出る人も多くなっています。
特に対策は打たれていないので今後も工学や理学の博士号を取得する学生の数は減るとともに、若者の研究離れは続いていくと予想されます。
先進国諸国では日本とは対照的に博士号取得者数は増加傾向にありますので、このことからも日本の科学技術は今後も衰退していくことが予想されます。

研究一般職の無期雇用職員の年俸表
職名 固定給(年額) 固定給(月額)
上級研究員、上級技師 5,133,000 427,750
研究員、技師、高度研究支援専門職 4,842,000 403,500
専門技術員 3,978,000 331,500
アシスタント、研究支援専門職 2,634,000 219,500
研究管理職の無期雇用職員の年俸表
区分 固定給(円) 固定給月額(円)
1 13,044,000 1,087,000
2 8,496,000 708,000
3 7,068,000 589,000

理化学研究所の歴史と実績

理化学研究所の歴史は長く、100年以上前の1917年に設立されています。
アジアで初の総合研究所であり、長期にわたり日本の科学技術の発展を牽引してきました。
設立には帝国ホテルや東洋紡など多数の会社の設立を手掛けた実業家として名高い渋沢栄一なども関わっています。

歴代理事長も相応たる顔ぶれであり、初代所長は数学者および政治家といて有名であった菊池大麓でしたが、就任のその年に逝去したために古市公威が2代目所長に就任しています。
この時代は20世紀初頭で科学技術が日本社会に浸透しつつある黎明の時代でもあり、日本の科学技術の屋台骨を作った人たちの名が連ねています。
例えば、主任研究員として理化学研究所に研究室を構えていた長岡半太郎は湯川秀樹や朝永振一郎といったノーベル賞受賞者に大きな影響を与えています。
その弟子に量子力学やサイクロトロンで有名な仁科芳雄がおり、理化学研究所の4代目所長に就任しています。
このように日本の物理学は理化学研究所や東京帝国大学、京都帝国大学などが中心となり本流を形成していました。

戦後になると1958年に特殊法人理化学研究所となり、それまでの所長から理事長に変わりました。
特殊法人とは営利目的ではない事業を行う法人であり、研究所も特殊法人となりました。
しかし、特殊法人が官僚の天下り先になるなど批判があったために、2003年に独立行政法人化して独立行政法人理化学研究所が設立されています。
この独立行政法人理化学研究所の初代理事長はノーベル化学賞を受賞した野依良治氏が就任して2015年までその職にありました。

理化学研究所で研究職にある人たちの学歴は戦前は旧帝国大学、特に東京帝国大学卒業もしくは海外の有名大学卒がほとんどです。
最近ではその傾向は緩和されていますが、旧帝国大学もしくは有名私立大学での博士課程修了者が多いです。

研究と言えば大学がイメージされますが、大学と理化学研究所の違いは教育に重点が置かれているかどうかです。
大学は研究機関であると同時に教育機関ですので、学生の教育に重点が置かれています。
大学側も学生の教育を通して学生という労働力が得られますので、お互いに支え合って成り立っています。
一方の理化学研究所などの研究機関は研究機関ですので、研究に重点が置かれています。
しかし、研究だけをするかと言うとそうではなく、共同研究先の大学の研究室に所属する学生の受け入れも行われています。
この場合の学生は学部生ではなく大学院生となり、修士号や博士号の学位取得のための研究が行われています。

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マリン

理化学研究所で研究者として安定した生活がしたければ定年制職員や無期雇用職員の管理職になる必要があります。
執筆・監修者 平均年収.jp 編集チーム
平均年収.jp編集部

外資系出身者・職業紹介本原作者、FP資格保有者・専門ライター、キャリアコンサルタント・大手出版編集者などのメンバーが参画
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