社長の年収【役員報酬】

社長の年収【役員報酬】はどんなものなのでしょうか。

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社長とは?

株式会社の運営は、 ①会社の持ち主である「株主」
②株主から経営を任された「取締役」
③取締役が決めたことを現場の経営組織のトップとして指揮する「社長」
という三種類の立場の人間によって行われています。
取締役を代表するのが「代表取締役」ですが、株主から経営を任されている立場である以上、もし経営上なにかミスをしたり、売り上げを大きく落としたりすれば、この代表取締役が責任をとらないといけません。
ですので、行動と責任を一致させるためにも、代表取締役が現場の経営組織のトップとして指揮する「社長」を兼ねている場合が多いです。
代表取締役と社長を兼ねている場合は「代表取締役社長」と呼ばれます。
代表取締役社長は、取締役を代表する存在であると同時に経営を実行する組織のトップでもあり、まさに株主から全責任を負って経営を行っている立場であると言えるでしょう。

役員報酬とはどういうものなの?

会社の「役員」とは、会社法上では「取締役及び代表取締役」、「会計参与(株式会社の会計関係の書類を作成できる人。公認会計士や税理士、監査法人等)」、「監査役(経営内容及び会計業務の監査を行う人)」のことを言います。
よく「執行役員」という言い方もされますが、これは会社法上の定義の中には入ってはいません。役員報酬は、取締役及び代表取締役、会計参与、監査役に対して支払われるものになります。

役員報酬は従業員に対して払われる給料とは本質的に異なります。
給料は企業組織内の人事考課を通して行われますが、役員報酬の額は株主が株主総会で決めます。経営者側が株主総会で「役員報酬はこのくらいにしたいのですが……」と提案を行い、そこで了承されれば役員報酬額が決定します。株主総会では役員全体の規模が決められるだけで、それを役員間でどう分配するかは取締役会に任されることになります。

社長や役員の年収の決め方はどういうものなの?

2010年の3月期決算から上場企業の役員報酬が1億円以上の場合は開示されることになりましたが、日産自動車の当時は社長兼CEOのカルロス・ゴーン氏で2011年の年収は9億8200万円でした。
カルロス・ゴーン氏の役員報酬はその後も3年連続でトップで、現在は会長の2016年度のカルロス・ゴーン氏の役員報酬は10億9800万円と2015年度から2.5%の増加でした。
日産自動車の社外取締役以外の8人いる取締役の役員報酬の合計金額は19億4800万円ですが、カルロス・ゴーン氏の役員報酬は8人の役員報酬の56%を占めしています。

そんな社長の年収の決め方、取締役、社長に支払われる役員報酬は、いわば株主が「経営がうまくいって利益が出たね。そのご褒美です」ということで支払われるもの。しかしこの役員報酬は、会社側が好き勝手に決められるものではありません。
というのも、法人税等は会社が挙げた利益から徴収されるものですが、その利益額が最終的にゼロになるように役員報酬を決めてしまえば、企業から課税することが不可能になるからです。

そのため役員報酬の決め方は、税法上しっかりと規定されています。

社長や役員の報酬の決め方は大きく分けて、
①毎月同じ額の報酬を支払う「定期同額給与」。
②利益の大小を基準にして報酬を支払う「利益連動給与」。
③役員へのボーナスの金額や支払日を事前に決めておく「事前確定届出給与」。

の3つがあります。

役員報酬の額を変える際の規定もあり、①新しい事業年度の3か月以内、②新役員の任命・昇格があった場合、③業績が悪化した場合、といった条件があります。

上場した時の社長の年収【役員報酬】はかなり上がるの?

企業が「上場する」とは、企業が株式の売買を株式市場で行うようになること。株式の売買が行われるのが「証券取引所」で、上場するにあたっては、証券取引所が行う審査基準をクリアする必要があります。
日本最大の証券取引所である「東京証券取引所」では、「一部」、「二部」、「マザーズ」の三つのタイプの株式市場があります。
「一部」はいわゆる大企業が属し、審査基準が最も厳しい市場です。いきなり一部に上場するのではなく、通常はまず審査基準が緩めの「二部」に上場し、そこでさらに業績がアップし企業規模が拡大した場合、一部に上場するというプロセスを経ます。「マザーズ」はベンチャー企業を対象とした株式市場で、企業の成長性が上場に当たっての審査基準となります。

成功した企業と失敗した企業の株価の浮き沈みが激しいのがマザーズの特徴です。

上場した場合の社長の年収ですが、かなり上昇するのは間違いないと言えます。
上場するということはそれだけ株式の取引量が増大することであり、資金調達額が一気に増大することになります。
例えばスマホ・携帯電話のゲーム配信企業である「GREE」は、上場したことで一気に資金調達量が増大し、それを広告宣伝費に回して事業を一気に拡大させました。
上場するほどの企業ですから、ある程度の実力がついていたのは間違いないですが、上場することでさらに飛躍的な事業規模の拡大につなげることができるわけです。
また上場することで企業の信用度が向上することになり、そのこともまた事業の幅を広げる上で役に立つでしょう。

事業規模が拡大すればそれだけ企業の業績の規模も巨大化し、そこで得られる収益・利益は莫大なものになります。社長の年収となる役員報酬も、年々企業の業績が拡大し利益が大きくなっていけば、それに合わせて増加させていけるのは確実です。

社長の年収ランキング【役員報酬ランキング】

2017年3月期役員報酬ランキングは東京商工リサーチによると2017年3月期において役員報酬を一億円以上受け取った役員について個別に開示している上場企業は全部で221社、457人でした。会社別では三菱電機が22人と最も多く、以下伊藤忠商事が11人、ファナックが10人、パナソニックが10人となっています。

ただ「一億円以上」といっても、一億円をちょっと超えたくらいの報酬額の人もいれば、それを遥かに超える額の報酬をもらっている役員もいます。
以下、報酬額の多い役員のトップ30を挙げておきましょう。


一位 ニケシュ・アローラ 元副社長 103.4億円 ソフトバンクグループ
二位 ロナルド・フィッシャー 副会長 24.2億円 ソフトバンクブループ
三位 マイケル・リントン 元執行役 11.4億円 ソニー
四位 カルロス・ゴーン 会長 10.9億円 日産自動車
五位 クリストフウェバー 社長 10.4億円 武田薬品工業
六位 平井一夫 社長 9.1億円 ソニー
七位 加藤修一 取締役 8.9億円 ケーズホールディングス
八位 岡田和生 会長 8.3億円 ユニバーサルエンターテインメント
九位 三津原博 社長 8.1億円 日本調剤
十位 富士本淳 社長 7.4億円 ユニバーサルエンターテインメント
十一位 ディディエ・ルロワ 副社長 6.8億円 トヨタ自動車
十二位 宮内謙 副社長 6.2億円 ソフトバンクグループ
十三位 五十嵐祥剛 会長兼副会長 6億円 アートネイチャー
十四位 金川千尋 会長 5.9億円 信越化学工業
十五位 毒島秀行 会長 5.6億円 三共
十六位 ロジャー・バーネット 会長 5.4億円 シャクリー・グローバル・グループ
十七位 瀬戸欣哉 社長 5.3億円 LIXILグループ
十八位 里見治 会長 5.2億円 セガサミーホールディングス
十九位 稲葉善治 会長 5億円 ファナック
二十位 山口賢治 社長 4.8億円 ファナック
二十一位 永井浩二 グループCEO 4.5億円 野村ホールディングス
二十二位 吉田憲一郎 副社長 4.34億円 ソニー
二十三位 河合利樹 社長 4.31億円 東京エレクトロン 
二十四位 アンドリュー・プランプ 取締役 4.25億円 武田薬品工業
二十五位 岡藤正広 社長 4.12億円 伊藤忠商事
二十六位 長谷川閑史 会長 4.09億円 武田薬品工業
二十七位 西川廣人 副社長 3.96億円 日産自動車
二十八位 長妻和男 元会長 3.96億円 三協フロンティア
二十九位 山田昇 社長 3.95億円 ヤマダ電機
三十位  アンドリュー・ハウス執行役 3.7億円 ソニー

一位、二位をソフトバンクが独占しています。一位から五位まで外国人経営者が占めているのも、特徴的です。
日本人ではソニーの平井一夫氏がトップ。
平井氏に加え、ケーズホールディングスの加藤修一氏、ユニバーサルエンターテインメントの若田和夫氏が、2017年3月期における日本人の役員報酬額のトップ3ということになります。
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20170630_03.html

東京23区内で社長が住んでる区ランキング

2017年現在、東京都内には35万5,175人の社長が住んでいます。
企業といっても大中小様々ですから、各社長の収入状況も様々ではあるでしょう。ただ中小企業の社長でも平均年収は1,500万円ほどと言われていますから、やはりそれなりのステータスはあると言えます。

以下、都内23区の社長が多く住む順のランキングを発表してみましょう(2017年8月時点)。


1位世田谷区 3万8771人
2位港区 2万5124人
3位大田区 2万2006人
4位練馬区 2万1124人
5位新宿区 1万9625人
6位渋谷区 1万9329人
7位杉並区 1万8997人
8位江戸川区 1万7401人
9位足立区 1万7065人
10位目黒区 1万5579人
11位江東区 1万5406人
12位板橋区 1万4797人
13位品川区 1万4397人
14位豊島区 1万2590人
15位中野区 1万1758人
16位葛飾区 1万1062人
17位台東区 1万0354人
18位中央区 1万0056人
19位文京区 9673人
20位北区 8920人
21位墨田区 8910人
22位荒川区 6910人
23位千代田区 5244人

社長の人口数では23区内で最も人口が多い世田谷区が一位ですが、人口比(人口に占める社長の割合)でみると、港区が9.94%と23区内で一位。
二位は渋谷区と千代田区の8.62%。
若者の街という印象が強い渋谷区ですが、実は近年、渋谷区は「ビットバレー」と呼ばれ、ITベンチャー企業が数多く集積する区となりつつあります。

「ビット」という名前は英語での渋い(Bitter)という言葉から、そしてコンピューターの基本単位「ビット」から付けられました。

歴代で最高に年収が高い社長は誰だったの?

国内で最も年収が高い社長は断トツでニケシュ・アローラ氏。昨年2016年3月期における役員報酬では64億7,800万円もの額を受けて「歴代最高額を更新!」と話題になりましたが、今年の3月ではそれをさらに60%アップの103億4,000万円に達し、歴代最高額をさらに大幅に更新する形となっています。現在の日本では、のニケシュ・アローラ氏が群を抜いて高い役員報酬を得ている状況です。

ニケシュ・アローラ氏は2014年7月からソフトバンクのバイスチェアマンに、同年10月からSoftbank Internet and MediaのCEOとなり、ソフトバンクの経営に深く関わるようになっていきます。
きっかけを与えたのはソフトバンクグループの創業者である孫正義氏で、孫氏は「自分の後継者」と指名したこともありました。
しかし結局後継者にはなれずに、2016年に役員を退任。
その際、ソフトバンクはニケシュ・アローラ氏のために68億円もの退職金を用意しています。
同氏がソフトバンクに関わったのは、実質2014年から2016年までの3年弱。
その間、2015年3月期では報酬額が契約金込みで約165億円、2016年3月期の役員報酬は64億7,800万円、そして2017年3月期の役員報酬は103億4,000万円。合計するとわずか3年弱のうちに、少なくとも300億円以上の報酬を日本で得ていたことになります。

日本人では、2016年3月期ではアオイ電子前会長の大西道義氏が11億6,800万円でトップでしたが、2017年3月期の日本人トップはソニーの平井一夫社長の9億1,000万円。
ユニバーサルエンターテインメントの岡田和生会長は2016年3月期では総合6位で日本人2位、2017年3月期では総合8位、日本人3位と2年連続でトップ10以内をキープしています。

執筆・監修者 平均年収.jp 編集チーム
平均年収.jp編集部

外資系出身者・職業紹介本原作者、FP資格保有者・専門ライター、キャリアコンサルタント・大手出版編集者などのメンバーが参画
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