歯科衛生士の年収を調査したところ、医療系の職種の中でも給料が低いことが判明しました。
歯科衛生士の年収まとめ
歯科衛生士の平均年収 | 370.5万円 |
---|---|
最高給与 | 30万円 |
最低給与 | 18万円 |
アイミ
ミナミ
マリン
歯科衛生士とは?
病院に行くとお医者さんとともに看護師さんを目にします。
看護師さんは注射などお医者さんのサポートをしますが、歯科衛生士は歯科医療における看護師さんの位置づけです。
歯科は一般的な医療とは切り分けられており、医師免許を持っていても歯の治療はできません。
つまり、歯の治療は歯科医師にのみ許された独占業務となります。
この歯科医師のサポートを行う専門的な教育及び訓練を受け、さらに国家資格を取得した人を歯科衛生士と呼び、市民の歯の健康を守る大切な仕事をしています。
歯の病気は虫歯と歯周病と大きく二つあり、大体このどちらかで歯を失ってしまいます。
虫歯は子供の時にもかかりますが、歯周病は年を追うごとにリスクを増し、40歳を過ぎたころには徐々に歯周病に侵蝕されます。
虫歯はミュータンス菌などと呼ばれている菌に感染することで引き起こされ、この菌が糖分を摂取することで酸性の乳酸を作り出し、この酸により歯が溶かされてう蝕してしまいます。
歯周病も似たような病気で、最近による感染により引き起こされます。
しかし、歯周病はより歯の根元で繁殖し、歯や骨を少しずつ溶かしてしまいやがて歯が抜けてしまいます。
つまり、どちらの病気も最近により引き起こされるのです。
近年PMTCと呼ばれる虫歯及び歯周病の予防法が普及してきました。
PMTCとはProfessional Mechanical Tooth Cleaningの頭文字をとった略ですが、専用の機械を使用して歯の掃除及びフッ素塗布を行います。
菌が歯に感染すると、口内に残った食べかすなどを栄養として歯垢、いわゆるプラークを作り出しながら増殖します。
この時、細菌は安定したバイオフィルムを形成し、このバイオフィルムの中で増殖していきます。
歯を磨いた際にはブラシが当たる部分のバイオフィルムは除去できますが、歯と歯の間などブラシが行き届かない場所のバイオフィルムは除去できないため、このような場所で最近は繁殖し口内へばらまかれます。
逆に言うと歯磨きでは除去できないバイオフィルムを除去できれば口内の細菌数を減らすことができ、虫歯や歯周病の予防につながります。
このバイオフィルムの除去を目的とした歯の清掃をPMTCと呼び、定期的に実施する必要があります。
このPMTCの効果は高く、多くの歯科医院で実施されていますが、このPMTCは歯科医師ではないと行えないということはなく歯科衛生士でも行えますので予防歯科として歯科衛生士の需要は高くなっています。
今回はそんな口内の健康を守る心強い味方である歯科衛生士の気になる給料事情について解説いたします。
歯科衛生士の給料
歯科衛生士さんの給料を厚生労働省から公表されているデータに基づいてみてみますと、10人以上の施設で働く人たちの2021年の平均年収は370.5万円でした。
ここ数年の歯科衛生士の平均年収の推移を以下のグラフで示しています。
男性歯科衛生士の年収は非常にばらついていますが、もともと男性歯科衛生士の人数は数えるほどしかいないのでサンプルの取り方次第で平均年収が年ごとに大きく変化しているものと思われます。
つまり、歯科衛生士の平均年収はほぼ女性歯科衛生士の年収ということになります。
年収はほぼ横ばいで10年以上変化はなく、給料が上がる要因も見当たらないので今後もこの年収付近で推移していくものと思われます。
歯科衛生士と似た職種である看護師の2019年の平均年収は482.9万円、歯科衛生士と同じく歯科関係の技術職である歯科技工士の平均年収は384.8万円でしたので、この中では歯科衛生士の年収が最も低いです。
男女歯科衛生士の平均年収の推移
歯科衛生士、看護師、歯科技工士の平均年収の推移
歯科衛生士は知識のみではなく実際に治療のサポートを行いますので技術が必要になります。
このため、歯科衛生士として高い能力を持っているとそれなりの給料をもらっても良さそうなのですが、実際はご説明した通り同じ医療系の職種と比較しても年収は低いです。
この理由はズバリ施設の規模が小さいことであると考えられます。
医療系では大病院などがありますので、このような病院では全体的に年収は高くなります。
このため、大病院に勤務する看護師さんはかなりの年収が得られていますが、一方で歯科医療を見てみますと、歯科がメインの大病院はほとんどありません。
あっても、大病院の一つの医科として存在している程度で雇用できる歯科衛生士数も少なくなります。
その他の大半は小規模の歯科医院です。
このために、企業規模が大きくなることによりもたらされる年収の増加は歯科衛生士にはほとんど期待できないことになります。
実際に企業規模ごとの年収を見てみますと、以下のグラフように大規模な事業所に勤務していても平均年収は低くなっています。
小規模とは10人から99人までの施設を指し、大半はこのカテゴリーに属しています。
小規模の医療施設である診療所に勤務している歯科衛生士数は約12万人ですので、ほとんどが診療所勤務であることがわかります。
大規模とは1000人以上の施設を指していますが、こちらは医療機関ではなく恐らくは大半が都道府県や市町村の勤務者で、勤務者数は2930人しかいません。
中規模の年収が高くなっていますが、中規模施設に勤務している人の平均年齢は43.6歳と、小規模34.2歳、大規模32.3歳と比べて年齢が高いのでその分給料が高いものと考えられます。
企業規模ごとの歯科衛生士の平均年収
歯科衛生士は他の職種と同様に年齢が高くなるにつれて年収も高くなる傾向がみられます。
意外にも最も年収が高い年齢は60歳から64歳で、唯一年収400万円を超えています。
基本的に平均年収は55歳前後をピークに低下するのですが、歯科衛生士では60歳を過ぎてから最高年収に到達しています。
年齢ごとの歯科衛生士の平均年収
男性歯科衛生士さんはどこにいるの?
歯科衛生士さんは女性しかなれない職業のような印象がありますが、男性でもなれます。
この印象は大昔は看護師さんと同様に女性しかなれないと法律で定められていた時期があるからで、その名残りがまだまだ残っています。
看護師さんは男性の看護師さんも普通に見かけるようになりましたが、歯科衛生士さんは恐らく見たことがないという人が大半でしょう。
それもそのはずで、平成30年の衛生行政報告例では働いている男性歯科衛生士は全国でなんとたったの67人しかいません。
一方で女性の歯科衛生士は13万2562人いますので、男性歯科衛生士の割合は全体の0.0051%、別な言い方をすると、約2000人に一人の割合ということになります。
現在はかなりレアキャラな存在の男性歯科衛生士ですが、どこにいるのか調べてみました。
その結果を以下の表にまとめます。
最も男性歯科衛生士が多い都道府県はもちろん東京かと思いきや、意外にも東京には男性の歯科衛生士さんは一人もいません。
さらに意外であったことは、最も男性歯科衛生士が多い都道府県は鹿児島県で、なんと14人もいました。
男性歯科衛生士の勤務場所を見てみますと、勤務場所の大部分は診療所や病院ですが、学校や介護施設などでも働いていることがわかります。
男性歯科衛生士は看護師という先例がありますので、今後は徐々に人数が増えていくと思われます。
男性歯科衛生士のいる都道府県及び勤務場所その1
全国 | 総数 | 市区町村 | 病院 |
67 | 1 | 11 | |
北海道 | 2 | - | - |
青森 | 1 | - | - |
岩手 | 1 | - | - |
福島 | 1 | - | - |
茨城 | 2 | - | - |
栃木 | 2 | - | - |
埼玉 | 7 | - | 3 |
千葉 | 2 | - | - |
神奈川 | 6 | - | 1 |
富山 | 3 | - | 1 |
石川 | 4 | - | - |
静岡 | 4 | - | 1 |
愛知 | 1 | 1 | - |
滋賀 | 1 | - | - |
大阪 | 7 | - | - |
兵庫 | 2 | - | - |
徳島 | 1 | - | 1 |
香川 | 1 | - | - |
福岡 | 3 | - | 1 |
長崎 | 2 | - | - |
鹿児島 | 14 | - | 3 |
男性歯科衛生士のいる都道府県及び勤務場所その2
全国 | 診療所 | 介護老人保健施設 | 歯科衛生士学校 |
51 | 2 | 2 | |
北海道 | 2 | - | - |
青森 | 1 | - | - |
岩手 | 1 | - | - |
福島 | 1 | - | - |
茨城 | 2 | - | - |
栃木 | 2 | - | - |
埼玉 | 4 | - | - |
千葉 | 2 | - | - |
神奈川 | 4 | - | 1 |
富山 | 2 | - | - |
石川 | 4 | - | - |
静岡 | 3 | - | - |
愛知 | - | - | - |
滋賀 | 1 | - | - |
大阪 | 6 | - | 1 |
兵庫 | 2 | - | - |
徳島 | - | - | - |
香川 | 1 | - | - |
福岡 | 2 | - | - |
長崎 | 2 | - | - |
鹿児島 | 9 | 2 | - |
マリン
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