獣医師の年収

獣医師の年収に興味がある方のための基礎知識。

獣医師年収まとめ

獣医師平均年収 631万円
男性獣医師平均年収 672万円
女性獣医師平均年収 559万円
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アイミ

医者や歯医者って高年収のイメージがあって実際高年収だけど、獣医師って給料良いのかしら?
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ミナミ

医師ってつくくらいだからよさそうな気がするけど?でも、高年収の職種ランキングなんかには全然見かけないかな。
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マリン

ん?獣医師の給料?まあ、悪くはないけど思ったよりもよくはない、ってところかしら。そういえば今度愛玩動物看護師という国家資格が新設されるみたいだし、獣医師の年収と合わせて紹介するわね。

獣医師とはどんなお仕事?

獣医師とはペットや家畜といった動物のお医者さんで、病気になった動物たちつまり、飼育動物の診療を行うことがその主な仕事の一つです。
獣医師の仕事は幅広く、一般的にイメージされる動物病院での診療の他にも動物園や水族館、競馬場に入国の際の検疫、ペットフード、製薬会社等の会社勤務などなど様々です。
獣医師になると食品衛生管理者と家畜人工授精師の資格が無条件で付与されますので、牧場などでも必須の職業となっています。

獣医師の仕事は独占業務であり、例えば人間相手に医療行為を行う医師が他人の動物に注射などの医療行為を施すと違法になります。
逆もまた然りで、獣医師は人間に対して注射などの医療行為は行えません。
その他にも動物に投与する薬の調剤や保健衛生指導なども獣医師にしか行えません。
また、名称独占資格でもあり、獣医師免許を持っていないと獣医師とは名乗れず、獣医師免許を持たずに獣医師を名乗ると違法になります。

獣医師は国家資格であり、独占業務もありますので果たして獣医師は医師のように高年収なのでしょうか?
今回は獣医師の期になる年収について解説いたします。

獣医師の平均年収は幾ら?

厚生労働省の賃金構造基本統計調査結果を用いて獣医師の年収の推移をグラフにしてみました。
グラフを見てみますと年収は年によりばらつきが多く増加や低下といった傾向はみられません。
これはなぜ起こるかというと、恐らく獣医師の数が少ないために統計を取る際に偏りが出やすいためであると思われます。
獣医師の数は全国で4万人ほどであり、全国的な獣医師不足が問題視されています。

年収の話に戻りますが、2020年の獣医師の平均年収は631万円でした。
男性獣医師の方が女性獣医師よりも年収が高く、100万円程度の開きがみられています。

下で示していますが、獣医師で最も多い業種が公務員ですので、年収は公務員の号俸に当てはめて算出されます。
つまり、約半数ちょっとの獣医師は公務員の年収となっています。
開業している獣医師の年収は高いと思われますが、この公務員の獣医師がボリュームゾーンですので開業医の年収が高くても平均年収を押し上げにくくなっています。

獣医師の年収推移のグラフ

獣医師年収についての画像

獣医師の年齢と年収の関係

獣医師の年齢と年収についての画像

厚生労働省賃金構造基本統計調査

雇われ獣医師or開業医!年収差額は大きい!?

診察料を医者自体が決められる自由診療という形をとっている形態であるため、医者のように平均的な給与水準を出すのが難しいのが獣医という職業です。
ですから、開業をした場合ももしかするとどこかしらかの勤務獣医には負けているかもしれませんし、また当然逆のこともいえるのです。
一概に平均を出すことが難しいというのが獣医ですが、一部のカリスマ性を持った獣医などは大変高収入を得ているというので、そこを目指すのもいいかもしれません。

獣医師が一生涯で稼ぐ推定平均年収はどれくらい?

獣医師が一生涯で稼ぐ推定平均年収はどれくらい?

現役で獣医師として働いた場合、生涯推定年収はおよそ2億6488万円ほどです。
平均年収の推移を考慮しても2億3779万円~2億8288万円ほど。
他職業と比較しても生涯推定年収は高めです。

一般サラリーマンの平均年収、生涯推定年収を大幅に上回っていることから、圧倒的に稼げる職業だと言っても過言ではありません。

獣医師の年齢と年収の関係

獣医師の年齢と年収についての画像

厚生労働省賃金構造基本統計調査

獣医師の職場

平成30年までに農林水産省に届け出のあった獣医師数は全員で39710人で、半数近くの17776人は個人診療施設、つまり動物病院で働いています。
この中には動物病院で給与所得者として働いている他にも、動物病院を開業した人も多くおられます。

動物病院は犬や猫などペットの病院ですが、その他にも牛や馬といった家畜の病院もあります。
ただ、病気になったとはいえ牛や馬などの大型の家畜は移動が難しいので、牧場への往診の形をとっています。

獣医師は雇われの身でしたら年収はそれほど多くありませんので、開業することで年収を増やすことが一般的です。
ただし、独立することはリスクもありますので、上手くいけば高収入が得られる一方で上手くいかなければ廃業となり、それまで投資したお金は失ってしまいます。
一方で、獣医師は国家資格であり業務独占資格ですので獣医師しかできない業務が定められおり、仕事が全くないという事態は起こりにくいです。
つまり、獣医師以外の人は動物病院を開業して動物の診察業務を行うことはできないので参入障壁が高い業種であると言えます。
さらに昨今は獣医師不足が叫ばれていますので、動物病院を開業すると安定した収入が得られる可能性が高いです。

公務員の獣医師も数多くおり、国家公務員、都道府県職員、市町村職員合わせて18371人います。
公務員の仕事は空港の検疫業務から保健所、食品衛生管理、屠畜場、畜産試験場など動物に関連する幅広い職種で獣医師が必要とされていますし、地方自治体はたくさんありますのでその分採用数も増えます。
他にも、自治体が運営する水族館や動物園などで獣医師を行う場合も公務員になりますので、公務員が獣医師の最も多い就職先となっています。

その他にも製薬会社やペットフードメーカー、食品会社、民間の水族館や動物園などの一般企業に就職する例もあります。
どの仕事も動物にかかわりがある上に、治験や治療など獣医師にしかできない業務が求められている場合が数多くあります。

獣医師の職場ごとの人数

獣医師の職場ごとの人数についての画像

獣医届け出数 39710人
獣医として働く者 35251人
個人診療施設 17776人
都道府県職員 9906人
市町村職員 7954人
獣医事に従事しない者 4459人
国家公務員 511人
その他 105人

農林水産省、獣医師の届出状況

獣医師になるにはどうすればいい?

獣医師になるためにはたった一つのルートしかありません。
それは大学の獣医学部を卒業することです。
日本で獣医学部のある大学は国公立、私立大学合わせて17大学ありますのでこの内のどれかの大学に入らなければなりません。
獣医学科のある大学は東京大学を始め北海道大学といった偏差値の高い旧帝国大学を初めとした名門大学で、それらの大学の学部の中でも獣医学部や学科は偏差値高めですので合格するのはかなりの難関になります。
学費は国立大学は一律で決まっており、入学金がある初年度は約82万円、翌年以降は約54万円です。
一方の私立大学はこの比ではなく、毎年200万円から300万円の授業料を支払う必要がありますので、経済的余裕がなければ通学は難しいです。
獣医学部は医学部と同様に6年制であり、6年かけてじっくりと教育がなされます。

獣医学科のある大学に入学して所定の課程を修了すれば獣医になれるかというとそうではなく、卒業することで国家試験の受験資格が得られます。
国家試験は誰でも受験ができるわけではなく獣医学科を修了して初めて受験ができ、国家試験に合格した後に獣医師として届け出を行うことで獣医師となれます。
獣医師の国家試験は獣医学科を卒業していればほぼ合格できるレベルであり、毎年80%以上が合格しています。

医師と獣医師の違いは患者が人間か動物かだけでなく管轄する省庁も異なっており、医師が厚生労働省であることに対して獣医師は農林水産省です。

医師と言えばサポートをする看護師とともに医療行為を行いますが、獣医師の看護師には動物看護師が該当します。
この動物看護師は愛玩動物看護師として国家資格となる予定でありその法的根拠となる愛玩動物看護師法が2022年5月1日に施行される予定です。
看護師と言えば注射、投薬、採尿などの医療行為を行える専門職ですが、これまでの動物看護師は動物に対して注射などの医療行為は行えませんでした。
つまり、動物看護師と言っても名前だけで資格は必要なく誰でもなれましたが、愛玩動物看護師の資格が新設されれば獣医師に代わって一部の医療行為が行えるようになりますので需要の高い専門職となると思われます。

この愛玩動物看護師の年収が幾らになるかはまだ未知ですが、看護師の平均年収が約460万円、歯科衛生士の平均年収が約350万円ですので、この近辺に落ち着くものと思われます。
もっと言えば、医師の平均年収が約1200万円、歯科医師の平均年収が約850万円、獣医師の平均年収が約631万円ですので、医師と歯科医師と獣医師の年収差に着目すると愛玩動物看護師の年収は歯科衛生士よりも低くなる可能性が高いです。
もちろん、需要が高ければ年収も増えるのですが、そもそも獣医師の年収が安いので需要があったとしても獣医師以上に年収は上がるわけがありません。
愛玩動物看護師に600万円の給料を出すならばそもそも獣医師を雇った方が効率がいいですので、愛玩動物看護師の給料の上限は600万円程度になります。
下限ですが、動物病院の助手の月給は20万円前後ですので、愛玩動物看護師になってもこの月収に手当の数万円が付く程度であると推測されます。
ただし、動物病院など小さな診療所では基本的に昇給などはなく年収は据え置きで長年同じ年収ということもよくありますし、ボーナスなども大手企業のように年収の5.5か月分などという気前の良い話などはほぼありません。
つまり、業界的に年収が安くなる構造ですので愛玩動物看護師の平均年収は300万円から350万円の間に収まるのではないかと推測されます。
一点気になる点は、獣医の就職先に公務員が多いように、愛玩動物看護師の公務員採用があるかどうかです。
愛玩動物看護師として公務員になれるのであればそれなりの収入が期待できますので収入や安定を求めるのであれば公務員になるのをお勧めしますが、公務員の採用があるかどうかは制度が開始されるまでは何とも言えません。

動物病院を開業するために必要な資金

獣医師の一つの夢は自分の医院を開業することだと思います。
しかし、動物病院を開業することは飲食店を開業するのとは訳が違い、多額の資金が必要になります。
最も安く開業する方法はすでにある動物病院を引き継ぐことです。
親の動物病院を引き継いだり、高齢でリタイヤする獣医師の病院を引き継いだりすることで様々な費用を節約できます。
例えば医療機器類もそっくりと引き継げることに加えて、患者も引き継げますので新規顧客の開拓をする手間が省けるとともに広告宣伝費が安くなります。
これは非常に有効で、引き継いだ月から安定した収入が見込めます。

その他にも居抜きを行うことも考えられます。
動物病院を経営していたけど何かの理由で廃業した場合、そのままの状態で不動産を賃貸します。
この場合も設備等をそのまま使用できますので初期費用が安くて済みます。
ただ一点気を付けなければならない点はなぜ廃業したか、です。
もし、お客さんが来ずに廃業したのならば、その物件で動物病院を経営しても同じ結果になる可能性がありますので見合わせた方が良いかもしれません。
例えばあるラーメン屋さんが廃業した場所で同じようにラーメン屋さんを経営すると大体潰れますので、商売の鉄則として廃業した業種と同じ業種で商売はやりません。
もちろん、動物病院は立地7割と言われる飲食業ほど立地が商売の成否を左右する訳ではありませんので、前の医院が廃業した物件でも経営手腕次第で上手く動物病院を経営できる可能性もありますが。

新規に動物病院を開業する際にはまずは医療機器を一式揃えなければなりません。
これは何を専門にするかなどによって値段は変わりますが、大体1000万円以上はします。
不動産物件もどの程度の間取りにするか、どの立地にするかなどで賃料は大きく変わります。
毎月の固定費ですので安く抑えたいところですが、賃料が高くても人通りの多い目立つ場所の物件を借りればお客さんが来る可能性もぐっと高くなります。
動物病院ですので診療にも入院の際にもそれほど広いスペースは必要ありませんので、一般的な診療所よりも小さい物件でも十分に事足ります。
このため、大都市の大通りなどを除いて家賃は月に30万円も支払えば十分な物件が借りられると思います。
物件が決まれば敷金や礼金を支払いますが、諸々で100万円程度の出費があり、さらに動物病院の体裁を整えるためのリフォーム代がかかります。
このリフォームには500万円以上かかると予想されます。

この他にも什器類や設備費、広告代、受け付けや助手の求人広告、人件費等々で開業するためには2000万円から3000万円程度の資金が必要になります。

獣医師として年収をUPさせる働き方・コツとは?

独立開業した場合、年収1,000万円を超えている方もいます。
また雇われでも実績を積んで評判を高め、地域で信頼される獣医師になれば平均年収が上がるという体験談もあります。

動物病院に勤務している獣医も、専門性の高さという特性から平均年収は高め。
規模の大きい動物病院だと勤務医で年収1,000万円を超えるケースもあるそうです。

独立開業の場合、開業資金を集めるために借金をする可能性も高いので、勤務医といて平均年収を高めるのはローリスクだと言えます。

独立開業し地域での評判も高まれば、経営者としての収入もUPしますが、大規模な動物病院でも年収1,000万円を狙うことできるという話もあるんです。

アメリカやオーストラリアなど海外の獣医師の年収

海外の獣医の年収って幾らか気になりますよね?
日本の獣医さんと比べて高いのか安いのか調査してみましたので、以下の表に結果をまとめます。
年収は日本円に換算しています。

国名もしくは州名 平均年収(万円)
アメリカ 1051
カナダ 852
オーストラリア 1142
イギリス 723
ハワイ州 1187
ミシシッピ州 820
テキサス州 899

最も獣医の平均年収が高い国はオーストラリアで1000万円を超えています。
次はアメリカでこちらも1000万円を超えていますのでかなり優遇されていることがわかります。
カナダとイギリスは割と低く、年収1000万円以下でしたがそれでも日本よりも高収入となっています。

アメリカでは州ごとの獣医の平均年収を調べてみますと、最も平均年収が高い州は意外にもハワイでした。
逆に最も低い州はミシシッピ州でした。
アメリカで牛と言えばカウボーイが有名ですが、そのカウボーイの本場であるテキサス州は牧畜が盛んですのでこちらの獣医の平均年収は高いかと思いきやそれほど高くなく899万円と年収1000万円位届いていません。

【知名度高し】獣医師になるための大学(一部)

これから獣医を目指す方にオススメな大学があります。
<国立大学>
・北海道大学
・帯広畜産大学
・東京農工大学
・鳥取大学
国立大学なので学費節約になり偏差値も高難易度というわけでないので、目指しやすいレベルです。

<私立大学>
・北里大学
・酪農学園大学
・日本獣医生命科学大学
どれも獣医師を目指す人たちにとって知名度の高い大学です。

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マリン

獣医師は医師、歯科医師といった医師系の職種の中では最も年収の低い職種となっています。

獣医師のクチコミ年収

獣医師の方に実際の年収の本音を聞いてみました。

30代 獣医師

年収は450万円です。
公務員獣医なので責任は大きいですが年収は割にあっていませんね。
ただ生活できないわけでもない額です。

20代 獣医師

年収300万円になりました。
体力的にも精神的にもハードで重労働ですね。
残業も多く拘束時間もかなり長いので、ハイコストな割にリターンは少なく不満です。

40代 獣医師

年収は500万円くらいですね。
雇われですが残業もすごく多いです。
時間外に手当もつかないし、ボーナスも院長の気分で変わるので不安定です。
有給は溜まっていく一方で使える職場環境ではありませんね。
院長クラスにキャリアアップできれば年収1,000万円は実現可能です。

医療系の年収一覧

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