勤務医師の平均年収
勤務医師の平均年収に興味がある方のための基礎知識。勤務医師の年収は全体的に開業医よりは低いようです。
医師の年収まとめ
平均年収 | 1169万円 |
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最高年収 | 推定4000万円 |
30歳の時の年収 | 900万円前後 30歳時のときは女性医師の方が年収が高い傾向があります。 |
アイミ
ヨシコ
医者全体の平均年収
厚生労働省の賃金構造基本統計調査の2019年に調査された統計データに基づいて医師の全国平均の年収を計算してみました。
結果、職員が10人以上の病院に勤務する医師は男女合わせて全国で13万4140名おり、平均年収は1,169万円でした。
厚生労働省の別な調査によると2018年12月現在での日本全国の医師の数は32万7210人ですので、医師の大半は10人以下の病院もしくは開業医であるということを示しています。
そして、医師全体の平均給料ですが、2015年実施の医療経済実態調査の報告によれば、医師全体の平均年収は1,456万円であり、開業医、すなわち一般診療所の開設者の平均年収は2,888万円でした。これらの年収を比較してみると開業医が圧倒的に高いことがわかります。
医師の種類 | 年収(万円) |
医師全体 | 1,456 |
10人以上の病院に勤務する医師 | 1,169 |
開業医 | 2,888 |
ミナミ
勤務医の平均年収
厚生労働省の賃金構造基本統計調査の2019年に調査された統計データから男性医師と女性医師の間の年代ごとの年収の差及び年齢層ごとの人数の分布を調べてみると以下の通りとなりました。
こちらも職員が10人以上勤務する病院に所属する医師に関してのデータです。全体的に見て男性の方が年収は多いことがわかります。医師は大学の医学部を卒業して医師免許を取得した後に研修医として働きだしますが、大学の医学部の履修年数は通常6年ですので、一般的に24歳から研修医となります。
年齢の分布を見てみますと、20歳から24歳までの人数が極端に少ないのは、医師としてのキャリアが24歳から始まっているためです。
20代前半から後半にかけて年収は低く、男女ともに600万円以下となっています。
30代になると一人前の医師として医療の中核を担いだし、それに伴い年収も上がり、男性では三十代後半で年収1,000万円を突破しています。
女性が年収1,000万円に到達するのは男性よりも少し遅く、40代に差し掛かった辺りになっています。男性に比べて若年層の女性の年収が低いのは恐らく結婚出産のために職場を離れしまい、その分キャリアが遅れたためであると推測されます。
30歳から34歳及び50歳から54歳の年齢層に関しては女性医師の方が男性医師よりも年収が高いかもしくは同程度になっています。
女性医師の場合ですと、50歳から54歳をピークにして、年収1,600万円程度から徐々に低下しています。
一方の男性医師の場合は60歳から64歳が年収のピークで1,800万円に迫っています。50歳以上の女性医師の人数ですが、この年代から非常に少なくなっており、60歳以上はほとんどいません。
このため、50歳以上の女性医師の年収にばらつきが出ているのは統計の母数が少ないため年収のばらつきが大きくなってしまったためであると推測されます。
年齢層ごとの医師の数のグラフを見てみると、30歳から34歳の人数が最大でここから男女ともに急激に低下しています。
30歳を過ぎると医師を引退するのかというとそうではありません。
これは飽くまで10人以上の職員のいる医療機関に勤務するサラリーマン医師についての統計であり、多くの医師は30代後半になると次第に開業医として独立しだすことをこのグラフは物語っているのです。
ミナミ
ミナミ
役職別階級別年収
2019年に人事院で調査された職種別民間給与実態調査結果から医師の階級による年収をご紹介します。
以下のグラフで医師の階級ごとの年収を示します。年収ですが病院長がもっと高く2,151万円でした。
この病院長ですが、部下となる医師の医師が5人以上所属している小規模から中規模にかけての病院の医院長となります。
次に病院長が不在の際に代行業務を行う権限を持った副院長ですが、こちらの年収が1,890万円でした。続いては各医科を統括する医科長ですが、こちらの年収が1,713万円でした。そして肩書のない医師の場合ですと、年収は1,337万円でした。下に分かりやすいように表を示しますので参考にしてください。
このグラフでは給料(通勤手当含む)と時間外手当、いわゆる残業代を分けて示してみました。
すると、面白いことが見えてきます。病院長の場合、時間外手当はほとんどなく39万円しかありませんでした。
副院長では122万円でした。そして最も時間外手当が多かったのが医科長の171万円で、肩書のない医師の149万円よりも多くなっています。
このことは、医師よりも医科長の方が残業は多くなっていることを示しており、医科長となると医科全体の患者の命を預かるその責務の重さと、部下の医師たちを管理監督、そして指導教育しなければならないために激務となっていると思われます。
つまり、医科長が肉体的にも精神的にも最も大変なポジションであることがこのデータから見えてきます。
役職 | 給料(万円) | 時間外手当(万円) | 年収(万円) |
病院長 | 2,112 | 39 | 2,151 |
副院長 | 1,768 | 122 | 1,890 |
医科長 | 1,542 | 171 | 1,713 |
医師 | 1,188 | 149 | 1,337 |
ヨシコ
開業医の平均年収
開業医の平均年収は冒頭に書きました通り、2,888万円でした。
開業医とは一般診療を主に行う診療所を開設した医師のことです。町医者などと言う言葉もあり、多くの方々はご自身やご家族のかかりつけとしてなじみが深いのではないでしょうか。
開業医の場合は、診療科を選べますので一人の医師が消化器科と循環器科など複数の診療科目について診療を行っている場合が多く見られます。もちろん、整形外科や眼科など専門性が高い場合はその診療科目のみの診療を行っています。
一般的には救急車を使用した場合や、急病でない限りいきなり高度な医療設備と専門性を持ち、最新の医療を行える大学病院などを受診することは少ないです。
風邪の症状や比較的軽い傷などの場合は開業医の診療所で診てもらいます。
そしてより高度な設備が必要だと判断された場合には開業医に紹介状を書いてもらい大学病院などで受診します。
このような個人の診療所で医師が2名以上いることは稀で大体開業医の先生が一人で診察されています。
勤務医師と開業医の年収比較してみると大きな開きが
これまでに示したように開業医と勤務医を比較した場合年収は圧倒的に開業医の方が多くなります。
単純に年収のみを求めて医師を続けるなら皆さん開業医として独立するのでしょうが、一方で一定数は勤務医として病院で勤務を続けています。これはなぜでしょうか。
勤務医の場合は給与所得者ですので月末には勤務先から安定した額の給与を受け取れますし、福利厚生も充実しています。
一方の開業医は基本的に個人事業主ですので自分でしっかりと稼がないと収入はありません。
また、開業医は開業して間もないと様々な診療機材を導入して資金を使った上に患者数も安定せずに売り上げも安定しない場合があり、借り入れにより開業した場合は毎月の支払いが必要になってきます。
更に、診療所の経営も行わなければならないので医療以外の知識や実務能力も必要になり経営者として職員の採用や病院の宣伝をする必要もあり、その分仕事も増えてしまいます。
高度な医療や研究を行いたいと思えば、大病院や大学病院に勤務する必要があります。
開業医の場合だと医療設備には限界がありますので、診療所では高度な医療は行えません。
このために、医療のレベルを求める医師にとっては設備の揃った大病院や大学病院の勤務医を選択することになると思われます。
その他には勤務医は定年がありますので定年後にはその地位と職を失ってしまいますが、開業医では定年はありませんので生涯現役でいる医師も多く見られます。つまり、どちらにメリットがあるか、どちらが自分のライフスタイルに合っているか、が勤務医でいるか開業医でいるかの選択に重要になります。
内容 | 勤務医 | 開業医 |
給与 | 貰う側 | 支払う側 |
定年 | あり | なし |
病院の経営 | 不要 | 必要 |
勤務時間 | 決まっている | 自分で決められる |
年収 | 少ない | 多い |
勤務医から開業医になる期間・開業資金を解説
10人以上の職員のいる病院に勤務している勤務医の人数のデータを見てみますと、30代前半をピークに勤務医の数は減少しています。
つまり、この年齢になると、それまで培った医療技術に自信を持つようになり、医師として脂がのりだす時期といえます。
経験年数が増すことで社会的信用も増し、金融機関から融資も受けやすくなることも開業へ向けて後押しをしていると考えられます。
つまり、24歳で医師免許を取得した後、6年程度の勤務医を経て30歳を過ぎたころから次第に独立していく医師が増えると言えます。
開業に必要な資金は街のビルのテナントを借りて全て新品の医療器材を揃えて診療所を立ち上げた場合、1億円弱の資金が必要になると言われています。下の表がその内訳です。
内訳 | 金額(万円) |
内装工事 | 2,500 |
医療器材 | 2,000 |
設備消耗品 | 400 |
不動産関係 | 400 |
医師会入会金(地域により異なります) | 200 |
運転資金 | 3,500 |
宣伝費 | 300 |
合計 | 9,300 |
ヨシコ
最も安く開業出来る方法は、すでに開業している診療所の経営を引き継ぐことです。
この場合、診療所や医療器材のみではなくそれまでの患者も引き継ぐことができますので、自己資金を使わずにさらに経営も安定しやすくなります。
開業医の中で年収高い科ランキング
個人が経営する診療所の診療科ごとの損益差額が調査されていました。
この損益差額は診療所の利益に当たり、“病院長の報酬となる部分以外に、建物、設備について現存物の価値以上の改善を行うための内部資金に充てられることが考えられる。”とされています。
つまり、この金額からある程度の額を差し引いた金額が病院長の年収となります。
この損益差額を見てみますと眼科が最も多く、損益差額は4,000万円に迫っています。その次が整形外科、耳鼻咽喉科となります。
これら二つの診療科の損益差額は大体3,000万円でした。
そして小児科、皮膚科、内科、精神科と続きこれらは2,000万円を超えています。次に低いのが外科で、2,000万円以下であり、産婦人科の病院長の年収が最も低いと推測されます。
診療科 | 損益差額(万円) |
産婦人科 | 1,698 |
外科 | 1,839 |
精神科 | 2,182 |
内科 | 2,406 |
皮膚科 | 2,726 |
小児科 | 2,733 |
耳鼻咽喉科 | 2,994 |
整形外科 | 3,003 |
眼科 | 3,774 |
外科は年収が他より高いの?
開業医が経営する一般診療所のうち、外科の損益差額が低いのは何故かと調べてみました。
まず、病院の売り上げとなる医業収益を見てみると、外科の医業収益は内科よりも高く平均より下でした。
しかし、内科よりも支出が多く、特に病院長の他の職員に支払う給与費の総支出に対する割合が、内科は35%、外科は38%、産婦人科に至っては42%と給与費が大きな割合を占めていて、このために損益差額が減っていることがわかりました。
つまり、出産や手術には看護師などのサポートが必要であり、この医療に必要な人数を揃えると収益を圧迫してしまいます。
従って、外科や産婦人科は手間がかかる割には収益が少ない構造になっており、外科と産婦人科の診療所の院長の年収は低くなっていると言えます。
外科の場合は個人の診療所よりも設備とスタッフが整った大病院の方が収益を上げやすく、一方でサポートする職員数が少なくても良い眼科などは開業医の方が収益を上げやすい様子が見えます。
この構造のため、近年では眼科や皮膚科など経費が掛からず開業して経営が安定しやすい科を選んで開業する医師が増えています。
開業医になるまでにかかる費用(大学受験から学費、開業まで)
内容 | 金額(万円) |
保育園 | 144 |
私立小学校 | 900 |
私立中学校 | 400 |
私立高等学校 | 400 |
私立大学医学部 | 3,000 |
大学生活費 | 720 |
合計 | 5,564 |
開業医になるまでには幼いころからの教育費を含めて大体1.5億円程度かかります。
教育に熱心な場合は保育園からしっかりと選びます。保育園は世帯収入や地域により認可保育園の保育費用が異なりますが、4万円とします。
この保育園に3年間通った場合は144万円かかります。
そして学業のサポートがしっかりしている私立小学校に通った場合は1年で150万円程かかりますので、6年で900万円になります。次に中学校と高校を共に私立に通った場合、両者とも3年間で大体400万円程かかります。
そして大学に入るわけですが、私立大学の医学部に入学した場合は国立大学よりも授業料が大幅に高くなります。
私立大学の医学部の場合は入学金と授業料を含めて6年間で3,000万円程かかります。その他にも生活費がかかりますので、学業に専念するためにアルバイトをしなかった場合は、月に10万円程度が6年分、720万円程度必要になります。
晴れて医学部を卒業し、研修医となりますが、ここから給料が貰えるので社会人として独り立ちします。
そして10年前後の修行期間を経た後に独立開業して開業医になります。開業するときに必要な費用は1億円弱ですので、合計で約1.5億円となります。
ヨシコ
医療系の年収一覧
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