司法書士は儲かるの?司法書士の平均年収を徹底解説!
司法書士年収まとめ
2017年度司法書士平均年収 | 701万円 |
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司法書士年収の中央値 | 450万円 |
司法書士人数 | 22632人(2019年現在) |
アイミ
ミナミ
マリン
司法書士の平均年収と年収の推移は?
司法書士はかなり強力な独占業務が付与される資格であり、世間一般的には高収入が得られると思われている士業資格でもあります。
実際に司法書士試験は非常に難しく、法律関係では弁護士に次いでなるのが難しい職業と言われています。
つまり、司法書士にしか行えない独占業務があることと資格取得が難しいことにより、安定した仕事がある上にその仕事を奪い合うライバルが限られていることで安定した収入が得られるというわけです。
司法書士の平均年収は司法書士の団体である日本司法書士会連合会から公表されているデータに基づいて平均年収.JP独自の計算方法に基づいて算出していますが、果たして司法書士は儲かる職業なのでしょうか?
まずは司法書士数の推移から解説いたします。
以下の表に司法書士数の推移を示していますが、1990年には16174人だったのが2019年には22632人と30年間で40%も増加していることが分かります。
この間に日本の人口は微増した程度で現在は減少していますので司法書士1人当たりの仕事量は単純に減少していると言えます。
特に2005年以降の伸びが大きく、2018年までほぼ直線的に多く増加しています。
これは2002年に認定司法書士制度が開始されたことに関連していますが、認定司法書士制度に関しては後程詳しくご説明しています。
2019年には伸びは落ち着きつつある傾向がみられますが、年を追うごとに司法書士間の客の取り合いが激化しているものと思われます。
司法書士の人数推移と似ているのが弁護士で、弁護士試験の変更に伴い弁護士が大量に生まれています。
そして現在では弁護士は食えない資格などと揶揄されているように大量の弁護士が仕事を奪い合っていますので平均年収は低下傾向にあります。
その次に司法書士の年収の年収推移について示します。
全司法書士を対象にしたデータではなくアンケート回答者のみのデータですので多少ばらつきがあるかと思われますが、司法書士の平均年収は大体800万円程度であると言えます。
2017年では701万円ですので、司法書士人数の増加に伴い年収は減少傾向にある可能性が推測されます。
司法書士は独立開業できる資格でもありますので独立して収入を上げる人が多く、給与所得者であるサラリーマン司法書士よりも独立開業した事業者司法書士の方が年収は高い傾向にあります。
中には年収が1億円を超える司法書士もおりますが、司法書士の業務は相場がありますので相場通りの金額で仕事をしても年収1億円を超えることは物理的に無理だと思われますので、純粋に司法書士の業務だけでその年収が得られているとは考え辛いです。
恐らく他の仕事を行っているものと思われますが、このような億を超える司法書士は司法書士資格取得のための学校などを経営していることが真っ先に頭に浮かびます。
司法書士人数の推移
司法書士平均年収の推移
の司法書士の性別及び年齢別年収の違い
司法書士の平均年収は男性と女性の司法書士を合わせた数字です。
一方で、男女間の平均年収を見てみますとどの業種でも男性の方が高い結果となっています。
これは司法書士に似た仕事である弁護士や公認会計士や税理士などにも言え、男性の方が年収が高くなっています。
少し前ですと女性従業員と言えばOLなどと呼ばれ一般職に分類され、コピーやお茶くみが仕事とされていましたが時代は変わり総合職として勤務している方も多くなっています。
現在では同じ仕事をしていれば初任給を始めとして男女間の給料の差は基本的にありませんが、それでも男性の方が年収が高くなる理由の一つに女性の方が結婚や出産でキャリアが中断されやすいために平均勤続年数が短いことが挙げられます。
勤続年数が短いと出世する前に会社を辞めてしまい新しい職場に移りますので年収が低いままとなってしまいます。
司法書士の場合は勤続年数に加えて独立するかどうかも年収に大きく関わってきます。
独立すると月給を貰えるわけではありませんので収入は不安定になりがちですが、士業では収入が上がりやすく例えば飲食業に比べて成功しやすいです。
つまり、高年収が得られる司法書士は独立開業をしている場合がほとんどだと考えられます。
女性の場合は子育て等でこの独立開業に壁があるようで、なかなか独立開業には踏み切れ無いことも収入が低い一因となっていると考えられます。
下の表に男性及び女性の司法書士の推定年収をまとめました。
男性の方が平均年収は多く、女性は少ないですがそれでも女性の平均年収は全業種の男性平均年収よりも高くかなり安定した職業であることが分かります。
司法書士年収の推定男女差
業種 | 全体平均(万円) | 男性平均(万円) | 女性平均(万円) |
全業種平均 | 487 | 546 | 382 |
司法書士平均 | 710 | 795 | 556 |
さらに、司法書士の年代ごとの推定年収をグラフにしてみました。
20代で司法書士になることは非常に難関で、全司法書士のたったの1%程度しかいません。
30代、40代と順調に年収は伸びていき、50代になると911万円と大台である年収1000万円まであと少しになっています。
年代ごとの推定司法書士平均年収
司法書士の都道府県別(東京大阪名古屋福岡等)平均年収
都道府県の平均年収から計算した都道府県別の司法書士の推定平均年収を算出してみました。
東京や大阪、神奈川などの大都市では経済活動が活発ですので平均年収も高くなります。
東京では平均年収は867万円と800万円を大きく超えておりダントツで高いという結果となりました。
神奈川、愛知、大阪などの大都市では東京に続いて高く、700万円代となっています。
人口が少なくなると平均年収は下がっていき、東北、中国、四国、九州地方では500万円台と低年収の県が目立ちます。
とはいっても、これらの件は平均年収自体低いので年収500万円といえばかなり高年収の部類に入ります。
都道府県 | 平均年収(万円) |
北海道 | 617 |
青森 | 534 |
岩手 | 552 |
宮城 | 650 |
秋田 | 548 |
山形 | 564 |
福島 | 601 |
茨城 | 704 |
栃木 | 666 |
群馬 | 665 |
埼玉 | 680 |
千葉 | 693 |
東京 | 867 |
神奈川 | 782 |
新潟 | 580 |
富山 | 668 |
石川 | 657 |
福井 | 632 |
山梨 | 673 |
長野 | 652 |
岐阜 | 663 |
静岡 | 678 |
愛知 | 748 |
三重 | 693 |
滋賀 | 708 |
京都 | 714 |
大阪 | 735 |
兵庫 | 706 |
奈良 | 672 |
和歌山 | 633 |
鳥取 | 585 |
島根 | 584 |
岡山 | 644 |
広島 | 680 |
山口 | 661 |
徳島 | 617 |
香川 | 644 |
愛媛 | 595 |
高知 | 572 |
福岡 | 646 |
佐賀 | 579 |
長崎 | 576 |
熊本 | 598 |
大分 | 590 |
宮崎 | 560 |
鹿児島 | 580 |
沖縄 | 545 |
ところで司法書士のお仕事とは?
士業とは各省庁のお役所仕事を一般人に代わって行うための制度とも言え、税理士は税務署、会計士は金融庁と言った具合です。
その道の専門家が業務の代行を行うことは省庁にとっては余計な手間が省けるというわけです。
司法書士の認定団体は法務省ですので司法書士の仕事は一般人が法務省へ行う登録などの仕事の代行業が司法書士の業務になります。
つまり、法務局に各種登記を行う場合や裁判書類の作成及び提出が司法書士の主な業務であり、これらの業務を司法書士が独占できます。
この司法書士ですが、2002年に認定司法書士制度が出来てから仕事の内容が多様化されました。
これに伴い仕事が増えましたので司法書士の人数も増加傾向にあります。
認定司法書士制度とは認定司法書士が弁護士と同様に事件を扱うことが出来るという制度です。
一方で、全ての事件を扱えるかというとそうではなく、扱える案件は簡易裁判所で取り扱う140万円までの民事訴訟です。
100万円程度のトラブルでしたら弁護士費用と裁判の手間を考えると割に合わず泣き寝入りした経験がある方もおられるかと思います。
特に裁判を考えるようなお金の貸し借りの問題などはすでに拗れていますので個人間で解決するのは至難の業ですが、現在では認定司法書士が間に入り提訴前に和解や督促を行ってくれます。
それでもダメでしたら認定司法書士を通して実際に簡易裁判所に訴訟を起こします。
司法書士になるためには年に1回行われる司法書士試験に合格しなければなりません。
かなりの難関試験で合格者数は1桁台です。
司法書士試験に合格すると司法書士になれますが、先ほど書きました認定司法書士になるには日本司法書士会連合会が実施する研修を受け、認定司法書士になるための課程を修了する必要があります。
さらに、研修終了後に簡裁訴訟代理等関係業務を行うために必要な能力があるかどうかの認定を法務大臣より受けることで晴れて認定司法書士になれます。
司法書士のやりがいや面白みとは?
メイン業務は裁判所・法務局・検察庁などへ提出する書類の作成業務。
難易度が高い合格率も低いので司法書士の資格を取得するのは大変です。
さらに、コネや人脈がない状態で開業すると、仕事がなく厳しい状況になりかねません。
アメリカなどは起訴の件数も膨大で日常茶飯事。
しかし日本は家庭裁判所で和解となることが多く、起訴案件よりも不動産・商業登記関連の書類作成や、供託書関連の業務が多い傾向にあります。
膨大な業務がある…というわけではないものの、都会の司法書士事務所であれば年収が400万円を超えるケースも珍しくありません。
ただ事務所によっても、営業ができる規模の大きさである方が仕事量も安定し年収も高くなります。
司法書士の面白さは、専門的な知識が必要とされるものの大幅に残業するケースは少なく、営業活動とメイン業務とをバランスよくこなせる点です。
がむしゃらに営業せず、マイペースに黙々と作業するのが好きな人にとってはベストな仕事です。
司法書士の資格を持っているだけで転職活動でも優遇されやすいので、安定的な生活を望めるのも司法書士のメリットです。
司法書士の仕事は将来性がある?
安定的な雇用状況、安定的な年収が見込めるため司法書士を目指す人は少なくありません。
ただ、営業をすれば確実に仕事がもらえるわけではなく、民事トラブルや司法処理が発生すると、司法書士の出番となります。
事務所や営業次第で仕事量が増えるわけではないので、現在は人材過多な状況です。
事務所勤務の司法書士は転職せず長く勤務することが安定的生活のポイントになるでしょう。
将来的に個人事務所を立ち上げたいなら、勤務時代からコネと人脈づくりに力を入れ、債務整理などの仕事を引っ張ってこれる営業力を養うべきです。
司法書士の仕事の将来性は、最終的に個人の働き方・営業力や経営判断にかかっています。
マリン
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平均年収.jp編集部
外資系出身者・職業紹介本原作者、FP資格保有者・専門ライター、キャリアコンサルタント・大手出版編集者などのメンバーが参画
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