税理士の年収
税理士の平均年収に興味がある方のための基礎知識
税理士の年収や給料、年収UP方法を解説!
税理士年収まとめ
平均年収 | 958万円 |
開業税理士の年収現実 | 1,000万円 |
働く税理士の年収 | 553万円~1,064万円 |
アイミ
ミナミ
マリン
税理士の平均年収
税理士の平均年収は2020年発表の厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると、税理士の平均年収はおよそ958万円(統計区分として会計士と税理士合わせた平均)でした。
税理士単体の平均年収だと、古いデータになりますが2015年に日本税理士会連合会がまとめた「第6回税理士実態調査報告書」(10年ごとに発表)によるとおよそ890万円です。
ちなみに、全国の税理士登録者数は2022年4月末現在で79887人になっています。
日本全体の平均年収が2018年度で433.3万円ですから、一般的な人より税理士はかなり高年収だと言えるでしょう。
税理士は平均年収が高いだけでなく、令和2年度の求人倍率も2倍(税理士1人に対して求人が2つある状態)でかなり買い手市場です。
税理士試験が高難易度で、人数が少ない分希少価値も高いので日本全体の平均よりも年収が高くなっていると言えます。
しかしあくまで平均なので、開業した税理士と雇われ税理士では大きく差が出る場合もあります。
特に税理士資格を取ったから高収入が見込めるわけでもなく、開業の場合は営業力も必要です。顧客がいなければ、もちろん利益は上がりませんし、営業ができなければせっかくの高難易度資格も宝の持ち腐れとなります。
また、普通の営業と違い、『税金を今より7割カットできます』や『相続税を0にできます』など過度な業務のアピールはできず、他の税理士と比較した宣伝もできません。
税理士男性女性での平均年収の差
税理士の男女比率は2016年時点で男性85.6%、女性14.4%でした。
数字だけで見ても、税理士はかなりの男社会だと言えるでしょう。
そのなかで、税理士の男性女性の平均年収は差が大きいと言えます。男性の平均年収が1,031万円なのに対して、女性の平均年収は744万円です。
令和3年度の賃金構造基本統計調査によると、女性の全年齢平均年収は253.6万円ですから、女性という括りで見ると税理士はかなりの高年収と言えます。
ですが、税理士の中では300万円近い格差があるので改善していく余地もあるでしょう。
ちなみに、税理士の男性と女性の生涯年収は男性で3億9170万円に対し、女性は2億8264万円でした。
この違いは、女性の場合結婚や妊娠出産などで一度仕事から離れる場合が多いからだとも考えられます。
また、税理士は高難易度の資格で有資格者も少ないですから一時的に税理士業務から離れたとしても、復職しやすいです。
妊娠出産など、一度仕事から離れると同じ給与水準で復職することは容易いことではありません。しかし、税理士資格を持っていれば高い給与水準での復職が可能と言えます。
税理士は男女での年収格差はありますが、日本全体の給与水準で見ると圧倒的に水準が高いと言えるでしょう。
税理士のボーナスについては、勤務する事務所によって支給システムがまちまちです。そのため、平均金額を算出することは難しいでしょう。
税理士法人の中には、年俸を16分割し、毎月支給し、残りの4か月間分を夏と冬に一般的なボーナスとして支給するところもあります。また、出来高によってインセンティブとして特別ボーナスを支給する場合もあります。
厚生労働省が2020年に発表した「賃金構造基本統計調査」によると、税理士(会計士と合算)の年間賞与およびその他の特別支給額は、10人から99人の企業規模の場合、約73万円です。
企業規模が100人から999人の場合は、約197万円です。
下記表には男女別の年間賞与が記載されていますので、ぜひご覧ください。
企業規模(性別) | 平均賞与 |
10人から99人(男性) | 約60万円 |
10人から99人(女性) | 約93万円(男性) |
100人から999人(女性) | 約197万円 |
100人から999人(女性) | 約118万円 |
また税理士の年収は職業別年収ランキングでは、4位(129職種中)でした。
男性の職業年収ランキングでは5位
女性の職業年収ランキングでは2位となっていました。
年齢による税理士の年収の変化
税理士(会計士と合算)の平均年収は958万円ですが、年齢によって受け取る年収には差があります。
例えば、20代の初めに働く人と50歳になるまでに働いた人では、年収に大きな差があります。
20代前半の若い税理士でも、高難易度の資格を持っていても、まだ高い年収は望めません。
ただ、日本全体の20代の平均年収が213.1万円(令和3年度の賃金構造基本統計調査)であることを考えると、税理士の年収は比較的高いといえます。
30歳くらいからは、サラリーマン税理士として経験を積んで、独立開業することで、頑張り次第で年収が大きく上がることができます。
35歳から49歳までの間には、平均年収が1,000万円を超える人もいるので、税理士は高収入の仕事であることがわかります。
年齢 | 平均年収 |
全年齢の平均年収 | 958万円 |
20歳から24歳 | 364万円 |
25歳から29歳 | 506万円 |
30歳から34歳 | 913万円 |
35歳から39歳 | 1,009万円 |
40歳から44歳 | 1,158万円 |
45歳から49歳 | 1,107万円 |
50歳から54歳 | 813万円 |
55歳から59歳 | 755万円 |
60歳から64歳 | 416万円 |
65歳から69歳 | 681万円 |
この表から、年齢が上がるにつれて平均年収が増えていることが分かります。
特に、40代前半から50代前半にかけては、平均年収が比較的高い傾向があります。
税理士の報酬単価
税理士の報酬単価を紹介する各サイトで税理士の報酬単価の相場は、個人事業主からの顧問料が月額1万円から3万円(年間12万円から36万円)で法人からの顧問料は、月額3万円から5万円(年間36万円から60万円)でした。
顧問料は意外と安い感じがしますが税理士の報酬は顧問料だけではありません。詳しく表にしましたので是非ご覧ください。
業務内容 | 税理士報酬相場 |
記帳代行 | 月額1万円から3万円程度(年間12万円から36万円) |
法人の決算申告 | 年間10万円から30万円程度(スポット) |
個人の確定申告 | 年額3万円から20万円程度(スポット) |
株式会社設立・合同会社設立申請 | 2万円から5万円程度(スポット) |
資金調達 | 着手金3万円から5万円で成功報酬は資金調達額の2%から5% |
補助金・助成金 | 着手金なしの成功報酬15%から30% |
税理士の顧問報酬単価についてはこちらから
総所得金額基準 | 年取引金額基準 | 報酬額 |
200万円未満 | 2,000万円未満 | 2万円 |
300万円未満 | 3,000万円未満 | 3万円 |
500万円未満 | 5,000万円未満 | 4.5万円 |
1,000万円未満 | 1億円未満 | 6.5万円 |
2,000万円未満 | 2億円未満 | 7.5万円 |
3,000万円未満 | 3億円未満 | 8.5万円 |
5,000万円未満 | 5億円未満 | 9.5万円 |
5,000万円以上 | 5億円以上 | 10.5万円 |
税理士の年収元になる顧問報酬(法人税)
総所得金額基準 | 年取引金額基準 | 報酬額 |
200万円未満 | 2,000万円未満 | 3万円 |
300万円未満 | 3,000万円未満 | 3.5万円 |
500万円未満 | 5,000万円未満 | 5万円 |
1,000万円未満 | 1億円未満 | 7万円 |
3,000万円未満 | 3億円未満 | 8.5万円 |
5,000万円未満 | 5億円未満 | 10万円 |
1億円未満 | 10億円未満 | 13万円 |
一人税理士(開業)の平均年収
開業している税理士の割合は約80%であり、開業税理士の平均年収はおよそ1,000万円だと言われています。しかし、年収300万円以下の食えない開業税理士が25%もいるという現実もあります。
転職サイトや税理士法人のサイトによると、年収1,000万円を超える開業税理士はおよそ30%を占めています。開業税理士の年収には大きなバラつきがあることがわかります。
雇われ税理士と比較すると、開業税理士は大きなリスクを伴います。一方で、成功すれば会社員時代の数倍、数十倍の給料を稼ぐことができます。
将来的に開業を目指す税理士は、会社員時代から営業力を磨き、顧客に信頼されるような関係を築いておくことが重要です。信頼されると、顧客から新しい顧客を紹介してもらえる可能性が高くなります。
BIG4で働く税理士の年収は?
いわゆる税理士法人のBIG4とは、
- PwC税理士法人
- デトロイトトーマツ税理士法人
- KPMG税理士法人
- EY税理士法人
の4つの税理士法人のことを指しています。次の章からはこのBIG4を詳しく見ていきます。
PwC税理士法人
PwC税理士法人は、日本で最大級の税務に対する助言者として税理士や、公認会計士、その他国家資格の保有者など合わせて500名以上のスタッフが在籍している大手税理士法人です。
設立は1999年で、全世界157か国18万人以上ものスタッフが在籍する世界最大規模の会計事務所プライスウォーターハウスクーパースの日本メンバーファームとして設立されました。
主要なサービスは、国内税務、国際税務、M&A、企業組織再編・事業再生、金融ビジネス、不動産ビジネス、移転価格、事業承継・資産税、間接税、関税・貿易、グローバルモビリティ、アウトソーシング、
企業トピック、税務訴訟です。
経営方針は、『Clients:クライアントの成功に資する付加価値の高いプロフェッショナルサービスを提供します。 People:世界に通用するプロフェッショナルに成長すべく自己研鑚に励みます。
Society:クライアントおよび私たち自身の成長を介して日本経済の発展に寄与します。』の3つを掲げています。
気になるPwC税理士法人の平均年収は情報サイトによると717万円で、BIG4と呼ばれる最大手だけあって業界内でも高い水準でした。
デトロイトトーマツ税理士法人
デトロイトトーマツ税理士法人は、全国規模の税理士法人として2002年に設立されました。
現在では全国17都市で業務を展開しており個人個人の卓越したプロフェッショナルがその連携により大きな専門家集団を形成し、高品質なサービスを展開しています。
主要なサービスは、ビジネスタックスサービス、インターナショナルタックスサービス、タックスコントラバーシーサービス、移転価格サービス、間接税サービス、グローバルエンプロイヤーサービス
、アウトソーシング(ビジネスプロセスソリューションズ)、FATCAアドバイザリーサービス、M&A税務サービス、タックスマネジメントコンサルティング(TMC)、
ファミリーコンサルティングサービス、グローバルビジネス支援です。
デトロイトトーマツ税理士法人で活躍するスタッフの数は1,064名(2021年7月末現在)と税理士法人の中ではかなりの大手と言えるでしょう。
東京をはじめ、札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡など主要都市にオフィスを構えるデトロイトトーマツ税理士法人の平均年収は転職サイトによると560万円になっています。
しかし、職階によって年収は変わってきます。アソシエイトと呼ばれる入社直後のキャリアでは450万円から650万円、シニアに昇格すると550万円から800万円、マネージャーにもなると800万円から1,500万円に跳ね上がります。
KPMG税理士法人
KPMG税理士法人は、東京、名古屋、京都、大阪、広島、福岡を拠点に約700名以上のスタッフを擁する国内最大級の税理士法人です。誕生は1954年とBIG4の中でももっとも古い歴史を持っています。
半世紀以上も日本の税務専門家集団の先駆けとして、グローバルネットワークを活用し、価値の高いサービスを提供しています。
業務内容は、国際税務サービス、国内税務サービス、M&A関連、組織再編/企業再生、不動産関連、証券化/リース関連、移転価格サービス、評価サービス(バリュエーション)、ファイナンス&テクノロジー、
関税/間接税サービス、グローバルモビリティサービス、アウトソーシングサービス、パブリックセクター向け税務サービス、医療機関向け税務サービス、中堅企業向け税務サービスです。
KPMG税理士法人のクライアントは約3,300社と、豊富な実績と信頼がウリです。売り上げも業界トップクラスであり、税理士としての経験を積む、スキルを上げるには非常に良い土壌がある企業だと言えるでしょう。
そんなKPMG税理士法人の平均年収は情報サイトによると796万円と言われています。業界でも高水準の年収であり、雇われ税理士だとしても十分の給料が期待できる税理士法人と言えるでしょう。
EY税理士法人
EY税理士法人は、世界150か国に約50,000名の税務の専門家が在籍しているEYグループのメンバーファームです。設立2002年で東京、大阪、名古屋、福岡、沖縄の主要5都市に事務所を構えています。
業務内容は、企業税務アドバイザリー・税務コンプライアンス、国際税務戦略およびM&A・組織再編、間接税戦略、グローバル規模の人材マネジメントです。
年間200以上の教育研修トレーニングコースがあり、そのほとんどが東京のEY税理士法人の所属するグループの、法人の職員が研修担当の講師をしています。
プロフェッショナルが集まる税理士法人だからこそレベルの高い人材が多く、税理士のスキルを磨く場としても申し分ない環境だと言えます。
そんな、EY税理士法人の平均年収は情報サイトによると650万円でした。これは、税理士業界でも高い水準と言えるでしょう。
雇われ税理士の平均年収は?
情報サイトや厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると雇われ税理士の年収は、企業の規模によって違ってきます。下記表にまとめましたので是非ご覧ください。
企業規模 | 平均年収 |
10人から99人 | 553万円 |
100人から999人 | 1,064万円(男性) |
1000人以上 | 684万円 |
都心と地方での税理士の年収差はどのくらい?
都心と地方での税理士年収差は調べた結果面白いことが分かりました。
ここでは都心を人口ランキング上位5位までの東京都、大阪府、神奈川県、愛知県、埼玉県とします。地方は人口ランキング下位の鳥取県、島根県、徳島県、福井県、佐賀県とします。
※下位ランキング3位の高知県はデータなしなので除外します。
表にまとめると、
都道府県 | 平均年収 |
東京都 | 740.4万円 |
大阪府 | 620.3万円 |
神奈川県 | 639.8万円 |
愛知県 | 420.7万円 |
埼玉県 | 426.5万円 |
都会平均 | 569.54万円 |
鳥取県 | 816.5万円 |
島根県 | 464.2万円 |
徳島県 | 549.8万円 |
福井県 | 1170万円 |
佐賀県 | 415.9万円 |
田舎平均 | 683.28万円 |
でした。
なんと田舎の方が平均年収が多かったのです。
東京など都会はクライアントの数も多いですが、それを対応する税理士の数も比例して多いです。一方で、田舎の方はクライアントの数に対して税理士の母数が少ない傾向です。
そのため税理士1人当たりの仕事量、報酬も増え平均年収が上がっていると考えられます。
高年収税理士を目指す方法
高年収と言われる数値に明確なものはありませんが、税理士の中で高年収と言えるのは1,000万円を超えたあたりからなのではないでしょうか。
税理士で年収1,000万円を超えるには2つの方法があります。
1つめの方法は、BIG4と呼ばれる大手税理士法人に入社し管理職を目指すことです。入社直後からの給与水準も高く仕事の難易度も高いですが、順調にいけば管理職で1,000万円、役員で1,500万円と高年収を目指すことができます。
2つめの方法は、開業税理士になることです。営業力を磨きクライアントを多く抱え、信頼を勝ち取ることです。
開業税理士の平均年収は、雇われ税理士よりも高いと言われていますから、やり方次第で1,000万円を軽く超えるような敏腕税理士になることも夢でありません。
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税理士
株式会社北越代表取締役に就任。赤字脱却に2年かけ、その後タイに進出し成長経営を実現。平成22年税理士登録し、中小企業育成に従事